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第12話
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「...っ、」
眩しさで目を開くと、辺りはすっかり明るくなっていた。
壁に掛かっている時計は9時を過ぎた所。
休日だからと言って気を緩ませても7時前には目覚めてしまう自分からすれば、『寝過ぎた』朝だった。
そして自分が何かを抱いていることに気付く。
規則的に呼吸を繰り返すそれは紛れもなく人で、視界に入った茶色い頭を見て昨夜のことを思い出した。
「おい...おい!起きろ!」
「...ん...」
「起きろ九鬼!!!!!!」
「うぅ...ん?」
耳元で怒鳴ると、不満気な声を出しながらゆっくりと瞼を開く九鬼。
そのタイミングで抱き締めていた腕を引き抜いて立ち上がると、九鬼の頭は布団にぼすんと落ちた。
ずっと腕枕をした状態で九鬼を抱き締めていた俺の腕は筋肉痛のような痛みが走り、寝起きだったからなのか足元はフラついている。
しかしそんなことはどうだっていい。
何故俺はこんなやつに腕枕をして、しかも抱き締めて眠ってなんかいたのか?
...あり得ない。自分は酔ってもいないのに、あり得ない...!
「...んぁ、しゅにん...?」
「起きろ。朝だ。」
「え...なんで......?」
「お前が!飲み過ぎて!潰れたからだろうが!!!」
「う...ちょ...うるさ......」
「知るか。早くどけ。」
布団の上で芋虫のように丸まる身体を足で軽く蹴り起きろと催促すると、頭を抱えながら九鬼はゆっくりと身体を起こした。
寝癖のついた柔らかい髪、クシャクシャと皺のついたシャツ、ほんのりと残る酒の匂い。
開き切っていない瞼を擦りながら欠伸をする九鬼はこの状況を分かっているのだろうか?
「...お前、ここがどこか分かるか?」
「ん~~~?...あれ?...どこ...?」
「昨日の記憶は?」
「きのう...ん~...しゅにんとご飯たべて...」
「そのあとは?」
「ん~..........あ、」
思い出した!と言うかのようにパチッと目を開き、『おはようございまぁす』と目尻を下げた九鬼。それは酒に酔い潰れた上に上司の自宅で一晩泊まったことなど全く気にしていないような口調で。
ーーーーこの野郎.......!!!!
カチンときた、というのはまさに今の俺のようなことを示すのだろう。
「~~~早く顔洗ってこい!!説教だ!!」
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