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第13話

***** 「ねーねー、このお皿可愛いねー」 「...」 「あ、あのコーヒー美味しいやつ!後で飲みたい!」 「...」 「ちょっとー、ちゃんと俺の話聞いてる?」 「...」 あのあと九鬼は俺の大声に驚いたのか、素直に立ち上がり部屋を出た。 が、すぐに『洗面所ってどこ?』とヘラヘラしながら戻ってきて... 結局一緒に洗面台に並び、クシャクシャのシャツを脱がせ自分の服を貸して洗濯機を回し、腹の虫を鳴らした九鬼と自分のために簡単な朝食を作り共に食べ... 「あ、泡ついてるよ」 「...」 「ん、取れた」 「...」   ーーーそして今、何故か二人並んで流し台に立っていた。 勿論俺は食器を洗うため。張り付くように横に立つ九鬼は手伝う訳ではなく、キッチンを観察しているだけで、一言話すだけでイライラが募る。 とはいえ早く洗い物は済ませたいのだから仕方ない。染み付いた自分の中のルールだ。 「ねー、主任?コーヒー飲みたい」 「...」 「コーヒー!コーヒー!コーヒー!!」 「~~~っああもう!うるさいな!これが終わったら淹れてやるから大人しく待ってろ!!!」 わーい、と喜ぶ九鬼とため息を漏らす俺。 一体いつになったらコイツに説教できるんだ... 何故こうも上手く行かないのか。 洗い物を済ませたら次はコーヒーを淹れる、目覚めてから今に至るまでの行動は、まるで九鬼の世話をしているようなもの。 棚に置いてある貰い物のコーヒー豆に手を伸ばし、それをコーヒーメーカーにセットする。しばらくすれば二人分のコーヒーが出来上がる。それを待つ間、どうにも我慢が出来なくなって換気扇を付けた。 いつもなら豆の薫りを楽しむ時間なのだけれど、九鬼に対するストレスを煙草で誤魔化そうとしたのだ。 家の中で吸うことは極力控えていたはずなのに。

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