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第19話

その日の昼休み、食欲もあまり出なかった俺は早々に喫煙所に籠っていた。 煙草を咥えながら弥生のメッセージを今度こそちゃんと読み、既に話はついているが『楽しみにしている』と短い返信をする。 そうすればすぐに知らないキャラクターがウインクするスタンプが送られてきて、ふっ、と笑い声が漏れてしまった。 (そういえば...昨日の九鬼のメッセージは何だったんだっけな...) ふと気になってメッセージを見ると、 【明日の夜行くね~!】 と、友達に送るような文字が並んでいた。 九鬼は1日置きに来ている、とは言えこうして事前にメッセージを毎回送ってくる。 そのうち返信も面倒になり、俺が既読をつけたら了承したと思って良い、と九鬼に伝えたのは4.5回目の連絡を受けた頃。 (そうか...アイツ今晩来るのか...) 九鬼のメッセージの内容をすっかり忘れていた俺は、どうしたものかと考える。 弥生達と呑むのは大抵仕事終わりの平日で、集合が遅いから解散は日付が変わる頃。 それはちょうど九鬼が自宅のインターホンを鳴らす時間と被っていた。 一時間でも時間をずらして来てもらえば、自分も風呂に入り終えてすぐに眠れるが、そうなると九鬼の睡眠時間が短くなってしまう。 (せっかくアイツも安定してきたしな...断るのも.....) もし俺が急に断って、九鬼がその辺の女を捕まえて...それを社員や取引先の人間に見られたら... もう九鬼のイメージは変わらないものとなってしまうだろうし、再び噂が流れるだろう。 そうなれば勿論指導者の俺も......。 短くなった煙草の火を消して、自分からは滅多に送らないメッセージを九鬼に送る。 そうすると直ぐに既読は付き、数分もすれば息を切らした九鬼が喫煙所に現れた。

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