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第22話
仕事の相談や愚痴、他愛の無い世間話...
そんなことを話すのは最初の30分くらい。
その後は大体沙織さんの作る料理を食べながら『聞き役』に回り、たまにツッコミやアドバイスをするのが俺のいつもの流れ。
何故かと言うとーーーー
「もーさ、その時の千裕が可愛くて可愛くて!」
「へぇ。ますます素直になったんだね、千裕くん。」
「ツンツンした千裕も可愛かったけど、甘えたな千裕は更に可愛いわぁ~」
「甘えたと言えば響くんもこの前外でデートした時に........」
ーーー弥生と暁斗、二人はそれぞれ『同性』の恋人が居て、この集まりはその恋人とのアレコレを語らう『近状報告会』だったからだ。
弥生の恋人、橘 千裕 は同じ会社で働く仲間であり、弥生の直属の部下。
出会いは深く聞いていないが、どうやら社外で出会った千裕を同じ会社、しかも同じ部署に引きずり込んだらしい。いつでも自分の目の届くところに置いておきたい、弥生がニヤニヤしながら語った時は空いた口が塞がらなかった。
そして暁斗の恋人、筒尾 響 は一時期俺の下で共に働いていたが、元々は弥生の部下。社内の色々な仕事を把握したいと応援を繰り返すうち、人員不足の部署を転々とする『お助けマン』となった男。
暁斗は響を溺愛していて、両家の家族にも挨拶済みの公認カップル...いや、夫婦のような関係だ。
何故そこに俺が混ざっているかと言うと、過去にあった出来事が関係しているのだが...今は割愛しておこう。二人は俺が『唯一互いの関係を知っている親友だから』と声を掛けてくれている。
(ただ話を聞いて欲しいだけ、のように感じてもいるのだが。)
誕生日やクリスマスのプレゼントを相談したり、たまにサプライズの旅行を計画したりと恋人には内緒にしておきたい相談に乗ることもあるが...
呑んで、食べて、恋人の話を聞いてーーー
そんな時間が純粋に楽しいと感じたから、俺は誘われる度断ることなく参加しているのだろう。
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