2 / 6
pollination
「随分と気にかけているようだな」
「そうですか?気まぐれに相手をしているだけですよ」
「俺はなかなか構ってやれなくてな。助かる」
生田の関心が彼に向くのは困る。「これは私のものであり、社長にその権利はない」そう言ってやりたかったが田崎は言葉を飲み込んだ。
夏の日差しを浴び、僅かに汗を滲ませる君。風が緩く空気を動かすたびに、風に揺れる植物のように君が揺れる。
随分背も伸びた。そして陽射しを浴び色が濃く変わった姿は健康そのもの。向日葵のような鮮やかな大輪を抱えて君は俺を見詰めている。
「こうも頻繁にお前が来るから、悪戯心がムズムズする」
「与志之に断りをいれてからにしてください。私は社長の命令には背けませんから」
「与志之が首を縦に振るはずがないだろう。忌々しい事をいけしゃあしゃあと言うものだ。適当に楽しんだら今日は帰っていいぞ」
「わかりました。お疲れ様です」
背を向けた社長に軽く頭を下げたあと、田崎は彼に向き合った。
「邪魔者はいなくなった。今日は君のために必要なことを教えてあげよう。一人ではできないだろう?」
田崎は邪魔になるものをはぎ取り、目当てのモノをむき出しにした。それはすでにプクリと成長している。指先でゆっくりと先端をなぞると充分な蜜。
「いつのまにこんなに大きくなったのかな?随分立派なモノを持っているじゃないか」
田崎は指先を舐めて味を確かめたい衝動にかられた。指ではなく彼のモノに舌先を這わせたい誘惑に震え目を閉じる。
「駄目だ。君は悪い子だ」
もう少しすれば好きなだけ彼の身体を味わい、喉の奥に命の味を感じることができる。いまこの青臭い味を知ってしまったら、台無しになってしまう。田崎は彼の誘惑と己の欲望に理性を総動員して抵抗した。いつの間にか呼吸が浅くピッチを上げている。
『楽しみを台無しにするな』と田崎は何度も心の中で繰り返した。彼の先端を触りすぎてしまったら、目的を遂げる前に彼が果ててしまう。
ふうと息を深く吐き出した後、田崎は手にした彼の先端を開きかけた蕾に挿れる。花芯とはよく言ったものだ。女を模したような形状が彼を飲み込んでいく。田崎はゆっくりと、しかし確実に花芯に彼を押し付けた。擦れ合うわずかな振動が手のひらに伝わってくる。
「どうだい?これで君も大人になれる。生まれて来た意味が形になるよ」
田崎は恍惚としながら彼との行為に耽った。社長は適当に楽しむようにと言ったが彼との逢瀬を適当にできるはずがない。
風に揺れているのか、田崎の手によってなのか、漂うように風をはらむ彼を田崎は何度も花芯へと誘った。
ともだちにシェアしよう!