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身請け

 長かった……ただひたすら君が大人になるのを待ち続け、ようやく今日という日が来た。彼を迎える準備は整っている。自分の住まいに連れ帰ってもすぐ行為には及べない。  家に閉じ込め彼が観念するまでの時間が必要だ。蓄えたエネルギーを内に蓄え安定させる為に。がらりと変わる環境がストレスになってはいけない。冷たい場所や日当たりの良すぎる場所は彼の気力と生命力を奪ってしまうからだ。 「社長が連れてくるだけで悪戯に好奇心を満足させた。そのあと面倒を見て相手をしてきたのは私です」 「ああ、そうだったな。長いこと悪かった」 「とっくに興味は薄れていますよね」 「……正直言うとそうなんだ。君の手によってどんどん大きく変わっていく過程を見ていたら満足したよ。それにアレのことはあまり好きではないんだ」 「勝手な人だ」 「見た目がそそらないだろ?中の具合はよさそうが」 「下品ですね。あんなに美しいのに失礼な」 「今まで手をかけてくれた礼だ。君にやるよ」  当たり前だ。俺でなければ彼を色付けることはできない。艶をあたえることも。 「さて来年はどうしようかな」 「また飽きて放り出すことになりますよ?」 「それも結構。きっと田崎が貰ってくれるさ」  来年、また違う「君」に出会えるのか?……いけない。今は目の前にある君だけでいい。君だけが欲しい。ずっと待ち続けた君とともに家に帰ろう。  田崎は美しい綺麗な肌に手を伸ばした。君を隅々まで味わうことを誓おう。君が知らないだろう可能性を俺は引き出すことができる。  君の中を深く探りながら色と艶をのせてやる……ふふふ。

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