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蹂躙
まだこんな抵抗できるエネルギーが残っていたとは驚きだ。田崎は彼の肌についた切り傷を指でなぞった。指先を引っ掻くように傷は盛り上がっている。田崎の力を押し返す彼の強い抵抗に驚き感心していた。
さすが自分が手塩にかけただけのことはある。あっさり受け入れられたら拍子抜けだし興味が薄れてしまうだろう。少々骨があるくらいで丁度いい。
「あまり俺を困らせるな。傷はつけたくないんだ。おとなしくしてくれ」
田崎はいったん彼から手を離し、スマホを手に取った。どんなことでもネットの世界に答えがぶら下がっている。料理、ことわざ、漢字、そしてもちろん秘め事の数々も。活字だけではなく画像が何万枚と晒されているから居心地の悪さを感じながら女性と並んで本を物色する必要もない。本が必要ならネットで買える便利な時代だ。
田崎は目当てのサイトに飛び、指南を読んだ。なるほど、そういうことか。
「一か所だけを攻めるのは効率が悪いようだ。君を転がすことにするよ。観念したほうがいい」
田崎は再び彼に手を伸ばす。左手でしっかり抑え込み動きを封じた。先ほどつけた傷に指先を当て反応を確認する――やはりここで間違いはない。
田崎はゆっくり彼に体重をかける。抵抗を見せると力を緩め彼の向きを少し変える。そしてまた体重をかける。それを繰り返していくうちに彼の肌に一筋の痕がついた。思った通りだ、瑞々しい。そして肌とはまったく違う中にある組織の色。血が騒ぎ早く中を味わいたいと脳が暴れた。
田崎は彼の肌につけた筋に分身を深く沈めた。自分の手ではなく今はこの分身こそが彼の中を蹂躙できる手立て。一突き沈め、彼の姿勢を変える。そしてまた一突き。
何度も突き立てていくうちに抵抗が少しずつ緩いものにかわっていく。分身を深く飲み込み中の複雑な組織がまとわりつく感触に、田崎は思わず唇を舐めた。表面とはまったく違う色、そして感触。
怪我をしないように慎重だった田崎の動きは性急なものにかわりつつあった。もっと深く、深く、奥へ奥に!
彼の抵抗はそこまでだった。田崎の両手で割り広げられた彼の身体は美しい色とともに組織を晒した。
「素晴らしい……想像以上。君の中を抉るには道具が必要だ」
柔らかい組織を傷つけないようにシリコン素材の道具で彼の中身を抉る。するりと入っていくシリコンが先ほど分身に絡み付いた組織を穿った。表面に薄っすらと水滴を滲ませ、彼は一切の抵抗をやめた。もう為すがままで身体を預ける彼。
田崎は待ち望んだこの時を征服感と共に迎え満足だった。長く待った、君のすべてを知るまでに……ああ、長かった。
「君をもっと熱くしてあげよう。そしてトロトロに蕩けさせる。もちろん俺の五感すべてで味わいつくす」
田崎は宣言どおり、文字通り彼を料理し始めた。田崎の手によってどんどん熱く蕩け始める彼はもはや抵抗する身体はない。もうあとは田崎の舌で弄ばれるだけしかできることはなかった。
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