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第3話 10月26日 PART.1

 ホテルに辿り着くまでに印南は道に迷ってしまったこともあり、山奥の中のホテルに着いたのは真夜中だった。総支配人の宋に部屋まで案内してもらったまま、朝まで眠ってしまったようだ。 「昨日はあんまし見てなかったけど、凄い部屋」  ベッドは「金色」の招待状に相応しく、金と呼んでも差し支えない優しい黄色のベッドカバーに、同色の天蓋のレースカーテンが天井から垂れていた。あとは、ダンスでも踊れるくらい広い空間に、質の良い家具が品良く置かれ、ラグジュアリーな黒いカーペットが敷かれている。  さらに、金の招待状がもらえた後に印南が希望した通りにパソコンが1台、書斎にあるような立派なデスクに用意されていた。 「ほんとに至りに尽くせり……」  印南は誰に会う訳でもないが、職業柄、洗面台に向かい、髭を剃った。そして、3つ星級のシェフが作ったというハンバーガーと昨日、宋のくれた飴をつまみ、インターネットを見る。  その日の特典が気に入らなかったら、従業員に渡せとは言われたが、特に「死ぬ」という訳でもないので、もし、従業員に渡さないのなら自分で食べてしまっても問題ないとのことだった。 「但し、貴方様は34歳とのことなので、5粒以上は召し上がらない方が良いかと思います」  嘘か真かは分からないが、笑みを絶やさない羊の執事が言うには1粒で4歳、5粒で20歳若返ってしまうとのことだ。 「あ、美味い! もう1つ、食べようかな……」  普段の印南は眠気でもない限りは飴といったものを口にしなかったが、この飴はとても美味しくて、まだ昼前というのに包み紙が1つ2つとデスクの上に乗っていった。

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