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第8話 10月28日 PART.2
「Trick or Treat!」
その日のノックは昨日のロワのものがやや派手で、乱暴さがあるものだとしたら、勢いはあるのだが、コンコンと軽快な感じだった。
「HAPPY HALLOWEEN! やね、星ちゃん」
印南が部屋に招いた男は黒いチェックのシャツに銀色のチェーンのついた黒いジーンズを着ている。一見、どこにでもいそうな人間の青年なのだが、その瞳は赤く、白銀の髪に埋もれるように白い獣のような耳があった。
「えーと、君は狼男くんかな?」
「うん、正解! 俺の名前は深月(みづき)って言います。でも、星ちゃんの好きに呼んでくれたらええよ。あ、星ちゃんって勝手に呼んでるけど、星ちゃんでええかな?」
白い狼の耳と尻尾を揺らして、コロコロと表情を変え、快活に喋る青年は賑やかだった。印南は「星ちゃんで良いよ」と言うと、「月と星だね」と笑った。
「本当やわ」
深月は印南の手首をまるで年の若い恋人のように爽やかに引くと、ベッドの中で着ているものを脱ぐ。だが、緋色の眼と純銀の狼の耳はそのままに、印南の服を脱がせていった。
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