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第10話 10月29日 PART.2

 その日のノックはコンコン、というよりはゴンゴンという鈍い音のものだった。夜はパエリアだったこともあり、印南は1本だけスペインのワインを開けて飲んでいて、若干、自信がなかったのだが、ドアを開けてみる。  すると、広い額に大きな傷がある、男が立っていた。 「HAPPY HALLOWEEN?」  と、印南は問うと、男はこくりと頷く。確か広い額から眉毛近くまでの伸びる大きな傷。こめかみ辺りから飛び出ているボルトのようなもの。それに、業務の半分が営業で、筋肉が割とある印南よりさらに筋肉に恵まれたジャケット姿。 それらはフランケンシュタインを思わせるが、整った目鼻立ちは隠し切れていなくて、ややイケメンすぎやしないか、と印南は思う。 「えーと、フランケンシュタインさんで合ってますか?」  印南が聞くと、「そうだ」と低く唸るように言い、印南は「ケンさん」と呼んで、部屋へ入れた。 「えーと、今までワインを飲んでいたんですけど、ケンさんもどうですか? それとも、ベッドへ行きますか?」  印南はコミュニケーションの取りづらいながらも、営業で培った会話術を駆使して、意思疎通を行っていく。すると、フランケンシュタインこと、ケンはオランダ人で、これが日本での初仕事で、これというテクニックがなく自信がないとのことだった。 「だから、これ、持ってきた……」  すると、片言の日本語を話すケンは持っていたトランクを開け、沢山の電極コードや電気クリップを取り出す。 「裸になって、ベッドに、四つん這い、っていうのになれ……」  イケメン過ぎるフランケンシュタインに身構えていた印南だったが、一生懸命なケンに印南は言う通りに服を脱いで、ベッドに手と膝をついた。

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