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第13話 10月31日 PART.1(R18)

 ハロウィン。それは本来、収穫祭の前夜祭とのことで、悪霊に扮装するのも魔除けの一種だったという。日本で言えば、死者の魂が現世に戻ってくると信じられているということもあって、お盆のような行事に近いらしい。 「まぁ、その日本じゃあ仮装して、町を練り歩く日みたいになってますけど」  印南はプレーンときなことパンプキンの3種の拘り焼き立てクロワッサンとサラダと珈琲で朝食を終えると、またもや部屋の清掃で、室外に放り出されると、ロビーで宋総支配人に為になるハロウィン講座を受けていた。 「ええ、なので、当ホテルでも仮装等、様々なサービスでお楽しみいただいております」  羊角に悪魔然とした宋は印南に両手で持てるくらいのサイズのバケツを差し出す。南瓜の形を模し、中には言うまでもなくあの飴が入っている。 「昨夜もお楽しみいただけたようで、もはや本日の宴で彼らを追い返す分の飴は必要ないと思ったのですがね」  宋は穏やかの極みというように柔らかな声音で告げる。そう、昨日も印南はベッドで激しく癒されていた。 「今宵の私は目がよく見えないから貴公が言葉を尽くして教示してくれ」  Dはたどたどしく印南の陰茎を掴むと口に含んで、前立腺を先端の丸い、太さのある杭のようなもので刺激していた。下半身の局所が2つも同時に責められて、その感想を説明しろと言われる。印南は羞恥と快楽で血液が沸騰し、身体を跳ねさせた。 「あぁ、苦し……い。きもちい……いけど、そんな、奥、トントンしちゃやぁ……」  前立腺を押し潰される度に喘ぎ、その度に、吸い込んだ酸素が残り少なくなっていって、それが不思議と胸を満していく。  そんな切ない感覚に。印南の腰がベッドのスプリングを跳ねさせると、Dの咽喉に血液ではなく、印南の陰茎から吐かれた精液の全てが吸い取られていた。 『もし、眼鏡をかけた吸血鬼に会う事があれば用心されたし D』  コウモリを模したメモ用紙には形とサイズが均一の美しい字が流れていて、印南は昨日、味わった切なさと一緒にメモをポケットに仕舞った。

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