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「……どうやって、証明しろというんですか?」  聞いたらいけない、関わってはいけない。分かっていても一時は助けてもらった人を蔑ろにするのは、僕の孤独だった時の苦しみを思い出して無下にはできなかった。  僕の言葉を聞いた彼がゆっくりと顔を上げていく。さっきは分からなかったが、少しやつれているようにも見えた。 「僕を受け入れて欲しい……」  彼はそう言って力なく立ち上がると、僕の手を引いて立ち上がらせる。そのゾッとするほどに冷たい手に、僕の足がガタガタと震えだした。 「そんなに怯えないで、そんな目で僕を見ないで」  彼はそう言って僕をベッドに押し倒すと、上からのしかかってくる。ずっしりと重たい感触と低い体温。服越しでも分かるその冷たさに、体温を奪われてしまいそうだった。  彼はもしかしたら死んでいるのかもしれない。そう脳裏に過った疑問をかき消すような激しいキスに、僕は思わず顔を背けようともがいた。 「拒まないで……お願いだから……」  切ない声音に僕は目をギュッと閉じて、彼にされるがまま身を委ねる。体のラインをなぞっていく冷たい指先。対照的に熱をもった彼の下腹部。絡み合う舌は生ぬるく、濡れていた。  彼の舌が体を這っていく恐怖と、ゾクゾクとするような快楽。溺れないようにと、シーツに掴まるようにしてギュッと握りしめる。  彼の荒い息遣いが僕の耳元に聞こえる頃には、僕の体がうつ伏せになっていた。下肢から突き上げられるような衝撃が、何度も何度も繰り返されていく。ぼんやりとした意識の中、ただひたすらに僕は唇を噛み締めて涙を流し続けた。  彼が僕の中に欲望を吐き出すと、僕はぐったりとベッドに体を沈み込ませる。濡れた下腹部がシーツを汚していくが分かったけれど、僕は起き上がることが出来なかった。

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