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第11話

「んー、フミヒコさんが、なかなかイかないのはソレのせいかなって思って…つけてると、感覚…直より伝わりにくい?それとも、オレに問題アリ?」 冗談口調で聞くアキラに… 「はは…サクヤ、君に問題がある訳ないだろ…持久力はある方なんだ、そんなに辛かったかい?」 首をかしげ苦笑いのフミヒコ。 「ううん…平気、ただ…少し気になっただけ…」 「心配してくれたんだね…ありがとう」 フミヒコは柔らかいキスをしてアキラを愛おしむ… 「…ううん、」 はにかみながら首をふる…。 大人な魅力を漂わせるフミヒコに…どこか演技しているように甘えを出すアキラ。 性優名サクヤで呼ばれている為か… 自然にフミヒコの望むサクヤを自分で作り出してしまっている。 「サクヤ、今日はこのあと急な仕事が入ったんだ…だから泊まっていくことが出来ない…悪いね」 フミヒコはシワのないスーツを着用しながら伝えてくる。 「うん、忙しいのに…ちゃんと会いに来て…凄いね、面倒くさくない?」 「サクヤ、はじめに言わなかったかな?これは私の愉しみ…道楽なんだよ」 「うん、聞いた…」 「好きなことを面倒臭いと思う人間はいない…そう思わないかい?」 「うーん、微妙」 内容が内容だから…とベッドに横になって、衣服着用しているフミヒコの姿をみつつ首を傾げる。 「ふ…、今度は、ゆっくりとした時間を過ごしたい…次は土曜だね、楽しみにしている」 スーツを身につけ… まだ、裸体で布団の中にいるアキラにキスを落とし… 懐から五万円を取り出す…。 「今日のお詫びも含めて、会えない日のこずかいに…好きな服でも買いなさい…」 「多いって、そんなに使わないから、他の…金に困ってる人にあげて」 首を振り断るが… 「これも私の楽しみの一つなんだ…多いなら、これだけは受け取ってくれ…な」 フミヒコは三万円をアキラに握らせる。 「…ハイ。ありがとフミヒコさん」 仕方ないな…と微笑んで受け取る。 「なら、私は行くから…ゆっくり休んで、次に会う時、また愉しませてもらうよ…」 そうアキラの髪に触れ、優しい雰囲気を残し、部屋を出ていく。 ベッドへひとり残されるアキラ…。 渡された三万円を静かに枕もとへ置き、起き上がる… 一人の大人から優しく熱い愛情を受けて… けれど… どんなに激しく身体を重ねても… 行為の後… 満たされたという思いは…ない…。

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