11 / 207
第11話
「んー、フミヒコさんが、なかなかイかないのはソレのせいかなって思って…つけてると、感覚…直より伝わりにくい?それとも、オレに問題アリ?」
冗談口調で聞くアキラに…
「はは…サクヤ、君に問題がある訳ないだろ…持久力はある方なんだ、そんなに辛かったかい?」
首をかしげ苦笑いのフミヒコ。
「ううん…平気、ただ…少し気になっただけ…」
「心配してくれたんだね…ありがとう」
フミヒコは柔らかいキスをしてアキラを愛おしむ…
「…ううん、」
はにかみながら首をふる…。
大人な魅力を漂わせるフミヒコに…どこか演技しているように甘えを出すアキラ。
性優名サクヤで呼ばれている為か…
自然にフミヒコの望むサクヤを自分で作り出してしまっている。
「サクヤ、今日はこのあと急な仕事が入ったんだ…だから泊まっていくことが出来ない…悪いね」
フミヒコはシワのないスーツを着用しながら伝えてくる。
「うん、忙しいのに…ちゃんと会いに来て…凄いね、面倒くさくない?」
「サクヤ、はじめに言わなかったかな?これは私の愉しみ…道楽なんだよ」
「うん、聞いた…」
「好きなことを面倒臭いと思う人間はいない…そう思わないかい?」
「うーん、微妙」
内容が内容だから…とベッドに横になって、衣服着用しているフミヒコの姿をみつつ首を傾げる。
「ふ…、今度は、ゆっくりとした時間を過ごしたい…次は土曜だね、楽しみにしている」
スーツを身につけ…
まだ、裸体で布団の中にいるアキラにキスを落とし…
懐から五万円を取り出す…。
「今日のお詫びも含めて、会えない日のこずかいに…好きな服でも買いなさい…」
「多いって、そんなに使わないから、他の…金に困ってる人にあげて」
首を振り断るが…
「これも私の楽しみの一つなんだ…多いなら、これだけは受け取ってくれ…な」
フミヒコは三万円をアキラに握らせる。
「…ハイ。ありがとフミヒコさん」
仕方ないな…と微笑んで受け取る。
「なら、私は行くから…ゆっくり休んで、次に会う時、また愉しませてもらうよ…」
そうアキラの髪に触れ、優しい雰囲気を残し、部屋を出ていく。
ベッドへひとり残されるアキラ…。
渡された三万円を静かに枕もとへ置き、起き上がる…
一人の大人から優しく熱い愛情を受けて…
けれど…
どんなに激しく身体を重ねても…
行為の後…
満たされたという思いは…ない…。
ともだちにシェアしよう!