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第18話
ひどくやつれて…目の下にはクマが…
医学の知識がなくとも分かるくらいだ。
「睡眠、とってる?」
「…!」
いきなり図星をさしてくるアキラに、さすが…と評したくなる。
みずきのここ六日間の一日平均睡眠時間は二時間もなかった。
「大丈夫だ…ありがとう…」
「…そう」
笑顔で返してくるみずきに、心配ながらもそう答える。
「…アキラ、これを…」
「…!?」
みずきが出したものは…金だった。
千円札と五千円札数枚のシワのついたお札…
「…何だよ、この金…」
「…六万、ある…」
みずきの口から発せられた言葉…
「…えっ」
まさか…
「毎週、俺が金は作る、だから、アキラ…」
真剣な瞳…
「ッバカ!なんでッ…お前、余分な金なんか持ってないだろっ?こんな短期間に、こんな金ッ…どこで…まさか、お前も!?」
身体売って?
アキラは立ち上がって問い詰める。
「アキラ、これは…夜間、土木や警備の仕事をして日払いで稼いだものだから…」
ゆるく首を振り伝えるみずき。
「…オマエ、それで寝てねーのか?金、稼ぐ為に…止めろよ!何考えてんだッ」
みずきの行動に唖然とする。
「…アキラ、勝手なのは分かっている…でも、俺は…本当にアキラが他の男と…そう思うだけで耐えられないくらいツラい…」
アキラを見つめ純粋な想いを伝える。
「俺に、そんな権利がないことくらいは分かっているけれど、こんな気持ちが続いたら…アキラを力づくでもどうにかしてしまいそうで…それは触れないという約束をたがえてしまうし、そんなことはしたくない…頼む、頼むから…」
みずきは誠心誠意伝える。
「……バカやろ、お前…なんで?オレが憎くねぇのかよッオレは隠れて別の男とヤってんだよ、みずきの気持ち知ってて…踏みにじるような事、平気でしてるんだッ!」
怒鳴るよう言ってしまう…
さらにアキラは続ける…言わずにはいられない。
「…こんな人間に…どうしてそこまで…目ェ覚ませよ…自分を削ってまで…バカだよ…、バカだ…」
ぽろぽろと涙の粒が零れ落ちてしまう…
こいつが優しくする度…
オレはこいつのこと…。
「アキラ…」
アキラは顔を俯かせ…涙で肩を震わせていた。
触れて肩を抱きたい…が、できないもどかしさにみずきは両手を握りしめる。
触れないという約束があるから…
約束は破りたくない…
けれど、今、アキラに触れたくて仕方がない。
「…アキラに触れたい、抱きしめたい…でも、アキラに認めてもらう為…守り通してみせる…」
みずきの純粋な想い…
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