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第38話

(…みずき) 身体だけの関係なら… こんなに悩まないのに… BOUSではそうだった。 身体だけの繋がりが当たり前だった… むしろ…身体しか求められなかった。 みずきだけだから… セックスさせなくても怒らないし… 離れていかなかった… オレを性玩具のように見ないのは… みずきだけ… こんな誠実で、一途な奴… オレみたいなのが合うわけない。 本当に…。 起こさないように… そっと触れて、みずきの手を避けて、静かに起き上がる。 布団を戻して… みずきが持って来てくれた服を手に、リビングに行こうとする。 「……アキラ、」 小さな寝言…オレを呼ぶ。 (……みずき、ごめん、…ごめんな…) そう心で謝りソファへと足を進める。 服を軽く纏いながら…思い返す。 昨日、行為の最中に麻痺した両下肢… オレに合わせて優しく抱いてくれるみずきとも… 薬なしじゃ…無理なのかも… でも…できるだけ薬は使いたくない。 けれど…麻痺したらみずきに気を遣わせてしまうし… みずきの好きなだけさせてあげれなくなる。 そういう意味でも、もう別れどきなのかもしれない。 フミヒコとするときは麻痺と発作を抑える薬をのんでいるアキラ。 けど、副作用もあるし、余計な薬は多用したくないのが本音… 「はぁ…」 重くため息が出てしまう… 立ち上がり移動する。 少しだるさは残るものの、身体はまだ大丈夫そうだ。 トイレを済ませ… 洗面台へ向かい、顔を洗った後… 医療箱からクスリを3種類ほど出して、それらをキッチンの水で飲みほす。 (…オレのカラダ、いつまで持つんだろう…) 自分の身体なのに…先の細かいことまでは分からない。 それが余計に心を焦りイラつかせる。 「……」 テーブルの上に置いてある… みずきが持ってきた6万円に…そっと触れる。 寝る時間を削ってまで働いて貯めたカネ… オレを守るため… みずきのエゴだと言う。

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