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第43話

「アキラ…」 「…ホント、この年になると…オレの身体、いつまでちゃんと生活できるか…分からないから、お前に悪くなってくオレを見せたくないし…」 病気の進行は止めたくても止められない… 「なぜ?俺はアキラを支えていきたい…アキラが俺のことを嫌いじゃないなら、一緒にいさせて欲しい…俺を信じて欲しい…」 しかし、みずきの心はかたい。 ずっと片想いしてきて、ようやく想いを伝えることが出来て、好きでいることを幸せに思た日々… アキラとのかけがえのない時間を…簡単に終わりになんてできる訳がない… 大好きなアキラを、傍で支えていきたいから… 「…信じたい、オレだって…でも、ダメなんだ、お前も…いずれはオレを置いて行ってしまう」 「アキラ、俺は…」 「分かるんだよっ、今は、そう言ってくれるけど…想いは変わるんだ、オレとじゃ…幸せになれないよ、絶対に…」 「幸せだよ…アキラと同じ時を過ごせる…それだけで…もし、俺が幸せじゃないと感じる時は…アキラが傍にいない時だ…」 「…お前は、もうダメだよ…傍にいてほしくない、与えられるだけなんて嫌なんだ…お前に何もしてやれなくなる…オレの傍にいたら、お前に負担ばかりかかって迷惑かけて…そんな風になりたくない…」 今だって…満足にセックスの相手もできなくなってきているのに… そう、一気に話すアキラ。 続けてぽつりと… 「…一人の方が、強くいれるんだ…オレは…」 となりに誰かいたら…どうしても力を借りたくなるから、ひとりがいい… 「プライド…」 ぽそっと呟くみずき。 「え…?」 「アキラの、プライド…つらくても甘えない…その強さ、俺は尊敬して憧れた…ずっと逃げてた自分に一番足りないもの…アキラは気付かせてくれた…助けられた、今も…『あたえられるだけ』じゃない、アキラの生きる姿は、俺にまっすぐ生きる力を与えてくれるんだ…これからも、ありのままのアキラを見ていたい…見せてほしい…」 みずきはアキラの身体を優しく包み込みながら囁く… 「……」 (みずき…) その言葉に、優しさに、アキラは拒否することができなくなって… 「好きだから…本当に愛しているから…アキラ…」 何度も伝えた… 心からの言葉… 「……っ」 (オレだって…好きだよ。) 囁かれる言葉…名前… 熱い気持ちに… ぎゅっと胸がしめつけられる思いのアキラ。 こんな、どうしようもない自分に… それでもまだ優しくて… まっすぐ必要としてくれて… 「……」 一体、オレはみずきに…何を返してやれるんだろう… (傍にいたい…) みずきの願い…だけど…

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