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第44話
「…アキラ?」
アキラはみずきから離れようとする。
「…みずきは…何が、望み?」
アキラは瞳を重ね…確認するように呟く…
「…俺は、アキラと一緒に暮らしたい…毎日、アキラと話が出来て、触れて…、前のように、それが幸せだったから…」
アキラがいるだけで世界が明るく見えた…
「タツたちが…全てを壊したんだ…BOUSに行ってあんな撮影はやめてもらうように言うつもりだから、戻って来れるように…」
真剣に伝える。
「え…?」
みずきはアキラがフミヒコとの契約でタツたちの撮影を無くしたことを知らないのだ。
「アキラが安全に暮らせるように…」
みずきは本気だったが…
「っ…馬鹿、お前は一切BOUSに関わるな!」
「アキラ?」
「そんなコトしなくても、タツたちは…もう撮影には来ないから…」
思わず言ってしまう。
「え、それなら…」
また一緒に住める…と、
ぱっと表情が明るくなるみずき。
「そのかわり…オレは一人の男の物になったんだ」
「え…もの?」
唐突な話ですぐには理解が出来ない。
「取引…されたんだ、タツたちの追加撮影はなくなる…けど代わりに…」
みずきを巻き込みたくないアキラは…言おうかどうか迷うが…
「代わりに?」
その先が気になりオウム返ししてしまう。
「……、フミヒコっていう…BOUSの顧客…資産家でホスト経営してる。オレ、その人に気に入られて、BOUS経由で、金で買われたんだ…このマンションも全部フミヒコの物…」
「……買われた、どういう」
理解にいたれないまま呟く…
「オレの他にもBOUSから契約で付き合ってる性優が何人かいるって…オレもそのうちの一人なんだ。ここに住んでフミヒコと会ってSEXして…それがオレの役目なんだ、そうゆう契約だから…みずきとは住めない…」
「なっ…そんな、契約…馬鹿にしてる、アキラをなんだと思っているんだッ!」
アキラの置かれている状況にみずきはカッとなる。
「…悪い人じゃないフミヒコは…オレをサクヤとして大事に扱ってくれる」
ぽつりとフミヒコの弁護をするアキラ。
「…!?」
「…いいんだ、そうゆう方が…気持ちがない分、重くないから…」
うつむいたまま…諦めたように紡ぐ言葉。
「ッ…本当にっ…アキラは、本当に俺より…そいつの方がいいと思ってるのか!?」
ただの玩具に過ぎない状況なのに…再び肩を持ち、瞳を覗き込むようにして聞くみずき。
「…っ、仕方ないだろ…オレはそういう生き方しか出来ないんだから!」
バッと顔を上げて…言い返してしまう…。
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