「愛してるって言われたら、昔は嬉しかったんだと思う、孤独だったから、愛されるってことに飢えてたし、こんなオレでも愛してくれる人がいるんだ、って思えて…んで、求められることに幸せも感じてた…オレも、昔は結構可愛いとこあったんだよな」 素直に信じてた…けど、愛されていたのはカラダだけだった。 「でも、違うってわかってからは、愛してるって言われても信じないことにしたんだ…」 「……」 珍しく自分の思いを話すアキラに言葉をはさめず、複雑な思いで聞き入る。 「『愛してる』って言われても本当に愛されてるわけじゃなかったから…だから悔しいからそれから愛してるって言われても反応しないように、頑張って無視し続けて…」 何を言われようと、相手を意識しなくなって、どうせヤられるなら、その行為だけ、楽しめるだけ楽しもうって…思うようになった。 そうしてたら愛してるってうわべの言葉さえ言われなくなったけど… 「どうせ自分が気持ちよくなりたいから言ってんだろって…」 愛の言葉は、オレを反応させるための手段に過ぎなかったから… ひねくれた考え方になって… 「そう思うようにした、人間なんてだいたい自分の為に生きる生き物だから…捻くれてると思うだろ？けど、それが真実だから、オレが経験してきた、真実」 「……アキラ」 みんながみんなそうではないことを伝えたかったが、アキラの様子を見ると、どう答えていいのか迷う。 「だから別にみずきがカラダ目的でも全然平気、むしろそう言ってくれた方が楽。」 それがオレとヤりたい奴が思ってることだから。 BOUSの奴らやフミヒコみたいに、目的が明確なら、期待も何もしないから… 中途半端に優しいと…期待したくなる… 「アキラ…」 その言葉には、否定するように首を振る。 アキラのカラダだけ求めているんじゃないから。 「けど、お前は違うって言う…」 他のヤツと違うみずき… だから勘違いしそうになる… こいつなら… 本当にオレを愛して、くれるんじゃないかって… けど、そんなのは幻想だから… みずきだってそのうち気がつくから…本当に愛するべき人が誰なのか… オレは… その人に出逢うまでの繋ぎにしか過ぎないのだから… 本気にしたら絶対に駄目だ。