77 / 207
第77話
「………」
「だから何、答えろって…黙ってちゃ分からないだろ!」
あまりに長い沈黙だったので少しキツめにアキラは言葉を出す。
「……かれようか…」
ポソっと言葉にする。
「え?」
「…別れよう」
「はぁ?」
みずきの言葉が信じられなくて、驚き聞き返す。
「…アキラは…ずっと、俺と別れようと…していたよな、今度も、俺が腑抜けだから…一緒に住んでくれると…」
アキラをきつく抱きしめたまま…耳元でつむぐ言葉…
「みずき?」
「…俺はアキラに支えられてばかりだ…それが情けなく思えて…」
「急に、何言ってんだよ…みずき?」
「…俺は、今のままじゃ…アキラと付き合っていくことが出来ない…」
自分はフミヒコに金を返す為、ホストをするだろう…
けど、アキラと付き合いながらそんな仕事…したくないから…
「待てよ、フミヒコに何言われたんだ?おかしいだろ?そんなの…みずき、オレはお前と決めた通りにするために、フミヒコに話しをつけたんだから…勝手なこと言うなよな!」
抱きしめているみずきから逃れ、怒ったように言葉を出す。
「……」
うつむいてしまうみずき。
「…何、ヘコんでんだよ…オレにもわかるように説明しろって!…何言われたんだ?」
なんだか元気のないみずきに…アキラは諌めるように言ったあと、少し口調を和らげて聞く…
「…俺は、アキラに見合う人間じゃない…そう言われた…金もないし、仕事も…学歴も、すべて駄目で…幸せにすることは出来ない…と」
ポツリぽつりと答える。
「フミヒコさんが…そう言ったのか?」
「……」
俯き短く頷く…
「だから、別れるって?」
「……」
自分から言ってしまったことだけれど…その質問には頷けない…
「……じゃ、別れる?」
意地悪に問うアキラ。
「……」
やはり何も答えられない…
本当は別れたくなんかないから…首さえも振れない…
ともだちにシェアしよう!