78 / 207
第78話
「……はぁ、ったく、ホントに馬鹿な…お前は、」
そんなみずきを見て、優しく息をついて言葉をかける。
「アキラ…」
「流されやすいっていうか…一度にいろんなコト言われると、必ず混乱するよな、この脳みそは!」
みずきの髪をくしゃと撫でる。
「……」
そっと視線を上げるみずき。
優しく澄んだ深緑の瞳と重なる視線…
「落ち着いて考えてみろ、お前は誰の意志が最優先なんだよ?フミヒコさんか?」
「…違う、」
「オレとフミヒコさん、どっちの言うことが大切なんだ?」
「…それは、アキラ…」
「じゃ、オレの言ったコト、覚えてるだろ、オレは仕事も収入も、もちろん学歴だって気にしない…そう伝えたはずだけど?」
アキラはそう軽く首をかしげる。
「それは…分かってる、けど…金を払わないと、アキラは返してもらえないから、あいつの所で働こうと思うんだ…」
どう伝えていいか迷いながら、みずきなりに真剣に伝える。
「は?何でみずきが金を払う必要があるんだよ、お前は関係ないだろ?」
アキラは呆れたように聞く。
自分がBUOSに売られたんだからみずきには関係ない。
「けれど…あいつは、アキラから…金は貰わないと言っていた、でも金を返さないと…アキラはアイツのものだから、俺が…」
「なんだよそれは…ハナシが違うって、一年は払わなくても自由にしていいって言ったんだ…、って言うか、フミヒコさんの所で働く!?お前が?」
ふと、さっきのみずきの言葉を思い出して驚いたように声を出す。
「…コンビニより金がいいから」
ぽそっと答える。
「…ホスト、するのか?」
「…アキラは嫌だよな、付き合っている俺が、そんな仕事をするのは…」
みずきはそっと尋ねる。
「え…、オレは別に…」
それは…仕事内容が、女と寝たりするんなら…
多少嫌な気にはなるけど、自分だって、フミヒコとSEXしてる訳だから…
とやかく言える立場じゃない…
アキラは少し視線を下げて言う。
さっきおこなった裏切り行為が頭をかすめる…
ともだちにシェアしよう!