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第81話
「まず…住む所は、オレが借りるから…みずきは家賃払わなくていいから…」
「それは…」
一緒に住む立場として…平等じゃなくなるから、と返そうとするが、アキラは続けて…
「みずきは、今住んでる自分のアパートの家賃を今まで通り払っていけばいいから…」
「えっ…」
アキラの言葉に驚くみずき…
アキラと住むために今のアパートを出るつもりだったから…
「みずきは自分の家とオレの家、行き来したらいいし…ひとつはそれ、分かった?」
それは…みずきの生活を変えさせたくないから…
いつでも元の生活に戻れるように…
「…、分かった」
反論はもちろんしたいけれど…了承しなければ一緒に住めないから、頷く。
「うん、あと…もう、オレの前で怪我するな…」
「え?」
「…庇わなくていいから、もしタツたちが来た時みたいな状況になっても、庇わなくていい…オレを置いていけばいいから」
アキラはさらっと、とんでもない事を言う。
「そんな、出来る訳ないだろう…置いていく、そんな酷いことは出来ない、自分だけ逃げるなど…」
みずきは勢い良く首を振り否定する。
「…逃げるんじゃないって、オレは見たくないだけ…肩の怪我も、この腕のキズも…オレを戒めるから…」
そっと…みずきに近づいて、左腕の服をめくりキズ痕に触れてアキラは言う。
「どうして、これはアキラがつけたキズじゃない、アキラが責任を感じることはないだろう?」
肩の怪我はタツが…腕のキズは自分で傷つけたんだから…と否定するが…
「…オレがやったのと変わらないだろ、それに…これからだって傷つける可能性がある…、嫌なんだよ、怪我したりするのを見るのが…自分だけ怪我してる方がまだマシだから」
アキラははっきりと言う。
ひとの痛みは、自分のとは違うから…
どれほど深いか分からない…けど、怪我してたら…オレはそれを無視できないから…
勝手に想像して…自分の心が痛くなる。
「…アキラ、」
「約束して…次、同じ事したら、本当にさよならするから」
「な…、アキラ、でも…俺もアキラと同じ気持ちだから…俺だって、アキラが怪我をするのは見たくない、怪我をする前に助けたい、アキラが怪我をするくらいなら自分が怪我した方がいい、そう思う…同じなんだ、想いは…」
みずきは、考えながら少しずつアキラに伝える。
「…それじゃ、ダメなんだ、オレに優しくしなくていい…」
アキラは首を振って願うが…
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