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第86話
「まぁまぁ、手伝うよ、アキラ…」
ルードは仲裁しつつキッチンに入る。
「うわーすっげ、このキッチン!使いやすそー」
キッチンに入ったルードはかなり感激している。
「はは、ルードは喜ぶと思った、オレは別になんでもいいんだけどな…」
「うそ…いいなぁ、」
羨ましがりながら設備に触る。
「使いに、いつでも来ればいいよ…料理してくれるんなら大歓迎だから」
「マジ?さんきゅー、そういえば気になってたけど、普段食事って誰が作ってんの?アキラ?」
「…オレひとりが作るのは時々かな、あとはみずきか、だいたい一緒に作ってる、みずき一人に任せるのは心配だしな」
首をかしげながら答えるアキラ。
「はは…そっか、あれ…アキラ、指輪は?」
飲物を注ぐアキラの手元をみて、ふと気付き聞く。
みずきと付き合っている証拠のものがアキラの指にはない。
「…持ってるけど、つけてない…つける気分になれないっていうか…」
微妙な顔をして答えるアキラにすかさず聞くルード。
「…別れる?みずきと」
唐突だが綺麗な瞳は真っ直ぐに問い掛ける。
「どうして?」
「いや、そーかなって思って…みずきと別れたら、絶対教えて、俺がもっと似合うの贈るから…」
「ルード」
「あ、今のみずきにはナイショな、みずき…今、結構油断してるから…」
こそっとアキラに近づき囁く…
綺麗なライトブルーの瞳が覗き込む。
「ルード…嬉しいけど、指輪はいらない、……オレはやめとけ」
大好きな人ほどオレの未来に、付き合わせたくないから…
そうルードに首を振り答えるが…
「ち、まだみずきに負けてんのか…悔しいな、」
「……」
「よーし!飲物運んだら、さっそく昼作るよ、」
ルードは気分を変えて作る気満々で言う。
「ルード、お前も一息ついてからにしろよ、急がないから」
「んー、でもヨシとか、かなり腹減ってるみたいだからな、先に作るよ」
「アイツはおまけだろ、……ルード、聞きたくないけど、アイツと付き合ってるとか言わないよな…」
耳打ちするように今度はアキラが小声で聞く…
「ヨシ?まさか、ダチだよヨシは」
軽く笑って答えるルード。
「そっか…」
それを聞いて少し安心するが…
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