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第88話

「で、みずきは?」 しばし、みずきに視線を送ったあと、最後に質問するルード。 「え…」 「ある?ストーカーされた経験!」 「…俺は、…父親がストーカーのようだったからな…」 「あー、確かにね」 ルードは頷いて… 「家に押しかけられてたしな…」 アキラも頷く… 「え?何で、お前らみずきの親父知ってンの?」 ヨシはすかさず気になったことを聞いてみる。 「まぁな…」 頷くアキラのあとにルードが付け足す。 「だって家近かったもんな…俺達」 ルードの実家はアキラの元家の裏向かいだし、みずきの家とも徒歩10分だから… 仲間外れにされたようで、なんだかムッとするヨシ。 「父親の件では、アキラとルードにはかなり世話になったから…ありがとう」 薬物中毒者だった父を更正の方向に導いてくれたのはアキラ。 きっかけをくれたのはルード… 二人には本当に感謝しているみずき。 「なんだよ、おもしろくねー」 話に入れなくて、またすねるヨシだが… 「お前の親父は元気になったのかよ?」 アキラが不意に聞く… 「…お、おう…まだ入院はしてるけどな、半年後には退院できるかもしれねーから、」 「ふーん、よかったな…」 「おう!」 「え、アキラってヨシの父親も知ってんの?」 驚きながら聞くルード。 「直接は知らないけど、コイツが親父が死ぬって泣いてたから病院教えてやったんだよ」 「なっだれが泣いてんだよ!」 アキラの言葉にカッとなりながら言い返すヨシ。 「嘘は言ってねーぜ、泣き虫、」 フンとからかうようにアキラが言うと… 「ざけんな、テメーだってあン時、帰り道で、泣いただろ!」 やはり張り合うように言い返す。 「えっ!アキラの泣き顔見たことあるのか?いいなぁ」 羨ましそうにアキラをみる。 「いいなー、ってルード…」 そんなん見て何が楽しい…とツッコミを入れるアキラだが… 「俺って全然、みんなの泣き顔見たコトないから見てみたいんだよな…」 「別にキョーミないけど…オレは撮影外でも全員の泣き顔みたことあるな…」 首を傾げながら話すアキラ。 「えー、いいな。でもみずきとか、泣きそうにないけどな…」 「いやいや俺も見たコトあるぜ、みずきのナミダ!でもルードはないな、みずきもルードが泣いてるところ見たことないだろ?」 突然みずきに振るヨシ。 「まあな…」 意図は分からないけれど、一応返事をする。

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