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第89話
「えっ…俺?」
「人の泣き顔見たいんなら、自分が見せてからだよな、泣いてみろよルード、そしたら見せてやるから」
軽く言うヨシに、ルードは…
「んな、急に泣けるわけないじゃん!」
ルードが少し怒ったように言うと…
「はは、…でも俺らは、泣こうと思ったらいつでも泣けるぜ?みずきなんか15秒あれば涙出るだろ?BOUSで演技してたからなー、アイツはヘタだから無理だろうけど!」
ヨシはアキラを目で指して、やはりからかうように言う。
「えっ、うそ、すげーな…」
ルードは素直に驚いているが…
アキラが同時に…
「ざけんな、出来てもそんな安々と人前で泣けるかよ、バカ」
ムッとして言い返す。
「そうだな…」
みずきも頷いてアキラに同意する。
「確かに人前で泣くのって恥ずかしいもんな、意味もなく泣くのは変だし、」
そしてルードにまで反論されヨシは…
「う…なんだよ、言ってみただけだろ、」
決まり悪くぼそっと呟く。
「まぁまぁ、その話しはやめにして…」
ルードは、そんなヨシを見て、ぷっと吹き出し笑いをしながら慰めつつ…
話題転換するように…あたりを見回す。
「何?ルード…」
気になりアキラが聞くと…
「アキラ携帯電話は?」
「え、と…その辺にあると思うけど、何?」
ソファの端をさしながら答える。
「携帯電話、やっぱその辺に投げてんだなアキラって…手元に置いとかないと!みずきにナカ見られてもいいの?」
アキラの携帯電話を探しあてながらルードは注意するが…
「別に…いいけど、みずきは勝手に人の物みたりしないからな…」
アキラは隣に座るみずきをちらっと見て、そう首をかしげる。
「そうそう、みずきって妙に律義だよな…」
みずきを挟みアキラの対極に座るヨシが珍しくアキラに相槌を打つ…
「ふーん、でもみずき…気になるだろ?アキラが誰とメールしてるとか…」
アキラの隣からみずきを真っ直ぐ見て聞くルード。
「……ルード、」
それは気になるけれど、プライバシーがあるから、勝手には見れないし…聞くのも気が引ける…と、答えに詰まっていると…
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