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第102話

「ユカリさんは溺愛してるからな…コウジのコト」 頷きながら言うアキラ。 「すごい困る…もう大学生になるっていうのに、ずっと子ども扱いだし…」 「一人息子なんだから仕方ないだろ、それがお前の役目なんだよ」 「そうそう、俺は親に恵まれなかったから羨ましいよ、そうゆうの」 アキラのあとにルードがコウジに言葉をかける。 「そうだね…ごめん、」 コウジは申し訳なさそうに謝る。 「コウジ謝らなくていいよー悪くないんだし」 ルードがコウジに優しく言ってると… 「えっ、待てよ、ひとり息子って…コウジとお兄さんは兄弟なんすよね?」 不思議に思った瞬助が何気に聞く… 「オレら異母兄弟だから母親は違うんだ…」 アキラは軽く微笑んで答える。 「そっかー、じゃお兄さんのお母さんは…」 「瞬!なんでも詮索しない!」 親のことに関しては複雑で気まずいコウジ、瞬助の言葉を勢いよく遮ってしまう。 「なんだよ、びっくりするだろ」 瞬助は急に怒ったコウジを見てハテナになっているが… 「はは、コウジ、別にいいよ、オレの方は、親いないんだ」 「え…いないって…あ、すみませんっす!」 アキラの言葉を聞いて、瞬助は母親は亡くなったんだと勘違いし、はっとして謝るが… 「ん?いいって、ママが恋しいトシでもないしな…」 軽く笑って返す。 「そーだよ、俺だって親いなくても生活出来てるし…」 そのアキラに相づちを打ちながら話すルード。 「っていうか、ルーも親がいないのか?」 「いないって云うか、俺の場合は親の暴力があって、家出てんだ…」 「えっ暴力?虐待とか!?」 「瞬!なんでも聞き過ぎだよ!」 またコウジが止めるが… 「そう、あの運転してるヨシもだし、あと隣のみずきも父親から暴力受けてたんだぜ…全然珍しくないよ」 ルードは気にした様子も無く普通に答えている。 「えっ最近は…そうなのか?」 虐待が多くなってるとは聞くけどそんなに!?とコウジに瞬助は本気で聞いている。 「ふっ、違うだろ…同病相あわれむの会なんだよ…」 世の中、虐待児ばっかり??みたいな瞬助の様子に、アキラはつい笑って言う。 「そ、そう…ですよねー、ははっ」 アキラの言葉に苦笑いする瞬助。

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