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第105話

「なんでそんなに食えるんだ?」 かなり不服で不思議そうに呟く… 「そりゃこっちが言いたいつーの、何でそんなに食わねーんだよ、だから育たねーんだ」 「な、関係ねーだろ!」 食べてるコウジだって同じ成長度なんだから。 「ヨシ、」 一言多い、とみずきが注意する意味で呼ぶが… 「…でもな、お前、好き嫌い言うガキみたいだぜ、んでみずきは保護者」 馬鹿にしたように笑うヨシにムカつき… 「なッ食えばいいんだろ、食えば!」 好き嫌いなんか言ってない!と、アキラはヤケで、えんがわをひとつ口に入れる。 「ウマイだろ?」 すかさず聞くヨシ。 「ゔ、…うまい」 不服そうに…しかし、まずくなかったのでそう呟くアキラ。 「言ったろ、手ぇつけたんだから皿あけろよ!」 ニッと笑って頷くヨシ、さらにズリも勧めている。 「…よかった」 みずきは、そんなアキラの様子を見て、心の内で可愛いな…と思うが口には出さず見守る。 ヨシはなんだかんだアキラに辛口で話すが、上手く食事をさせているし…こういう方法もあるのかと少し見直すみずき。 アキラを怒らせたくない自分には出来そうにないけれど… そうして一行は楽しく食事を終え、なんとか迷わず、それでも数時間かけて宿につく… 時刻は午後2時ごろ。 「んー、けっこう遠かったなー」 ルードは車から降り、背伸びをして言う。 「ホントにすごい山ばかりだな…」 アキラも、ポツリと感想を伝える。 辺りを見渡してみると、山に囲まれ、近くを小川が流れている素晴らしくのどかなところだ。 春と言うことで山桜が綺麗に咲いている… 「ありがとうございました…長い道のりを…」 コウジがヨシとみずきにお礼を言っている。 「大丈夫、俺達も楽しんでいるから…」 みずきはヨシの代わりに答えていて… 「コウジー!見ろ見ろ、桜並木だぜ!」 そこへ瞬助が駐車場から少し出て、大声で呼んでいる。

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