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第108話
「もう入る気?」
コウジが驚いているが…
「温泉入りに来たんだろ?」
「まぁ、そうだけど…」
普通夜からだよね…と首を傾げる。
「今からだったら大衆浴場の露天風呂も貸し切り状態だと思うから、今のうちに入っとこうぜ、夜になったら他の客も来るだろうし…夜は部屋についてる方に入るってコトで」
瞬は簡単に説明しているが…
「どういう風呂になってんの?部屋にも露天風呂がある?」
ルードが割ってきく…
「一応、各部屋に小さいけど外が見渡せるような風呂があって、大衆浴場は、大きな露天風呂になってるんだけど…実際見てもらった方が早いな」
うんうんと頷きながら云う瞬助。
「それもそっか、行こう行こう!」
納得して歩き出すルード…。
一行は宿につき、ひとまず荷物を部屋に置くため二人ずつに別れて部屋に入る。
「ふー、着いた着いた。でもいい部屋だな、桜も見えるし…」
アキラは窓際の椅子に座って呟く…
二人部屋というものの、実際は2部屋ほどあるような、とても広々とした和室だった。
「何円くらいなんだろうな…」
荷物を片付けつつ、ぽつっと呟くのはみずき。
「ふ、気になる?みずきの分も払おーか?宿代」
アキラは軽く笑って、からかうように云う。
「いや、俺は払えるから」
「そんな無理しなくても」
笑ったままアキラはつっこむが…
「無理じゃないから…」
年下のアキラに宿代を払ってもらうのはかなり情けないから…と言い返すみずき。
それを見てクスクス笑う…
「…アキラも、これから大浴場の露天風呂に入るのか?」
アキラの笑顔に和みながら聞いてみる。
「みずきは?」
「俺は…アキラが行くなら行くし、どうする?」
「…うーん、どうしようかな…せっかくだし、行ってみるか…」
頷きながらみずきを見るアキラ。
「……、そうか、なら俺も行くよ…」
みずきは少し溜めたように頷く…
「なんだよ、今の間は、行きたくないのか?」
「いや、少し複雑なだけで…」
「何が?」
首を傾げて聞き返す。
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