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第113話

アキラの言葉… 嬉しく思うけれど…心の内は不安で仕方ない。 いくつも…重要なことを話し合えていないから… フミヒコとのこと… アキラの県外への施設入居のこと、それに…今、自分は…アキラの恋人であるのかどうかも…分からない、指輪はつけてもらえない… 一緒に住んでいるだけと言い切られては… はっきり話し合いたい気持ちと… はっきりさせることが恐いと思う気持ち… 交錯していて、逃げてしまっている…。 ただ…こんな風に、微笑む姿を…傍で見ていられたら、離れるよりは何倍もいい… そう、思い直してみずきはアキラとともに風呂場へ入っていく… 「へー、やっぱ広いな…」 見渡して驚くアキラ。 広い岩づくりの(おもむき)のある露天風呂… 脇の屋根がある場所に、体を洗う場所があり、ルードたちは、そこで背を流している。 「アキラは、やはり温泉に来るのは、はじめてか?」 みずきはそばを歩きながら、そっと聞いてみる。 「まぁな、こんなに遠出したのもはじめてだよ、みずきは?」 「俺は…温泉はないけれど、昔、家の風呂が壊れて銭湯に行ったことなら」 首を傾げて思い出しながら答える。 「そうなんだ…どうだった?」 アキラも頷いて、また聞いてみる。 「子どもの頃だから…温かいプールのようで楽しかった感覚を覚えているくらいか…そこは露天風呂はなかったし…」 「ふーん、じゃみずきも露天の温泉は初めてなんだな…」 「あぁ」 会話しながらアキラとみずきも、先に来ていたルードたちに混ざる。 「アキラ、細いよな~、なんかアキラやっぱり小さくなったみたいだ」 遠慮無く嬉しそうに話し掛けてくるのはルード… 瞬助もアキラが気になっているようだが、コウジとみずきの手前、遠巻きに見ているだけだ。 「だから…、ルードがでかくなったんだって、中学生のくせに…」 息をついて言い返すが… 「へへ、あ、みずきとヨシと俺、誰が一番背高い?」 笑って誤魔化しながらアキラに聞く。 「うーん…一番高いのはヨシだな、次は微妙だけどルードだよ」 アキラは見比べながら答えている。 「やった~、みずきには勝った!」 それに素直に喜んでいるルード。 「つーか、俺も絶対抜かれそうだよな背、まだ13才だろ?お前…」 ヨシは風呂用の椅子に座り、髪を洗いはじめながらルードにいう… 「うーん、やっぱ180センチは欲しいけど、それ以上はな、あんまり高すぎても目立つだけだし…」 金髪青瞳でただでさえ目立つのに…と首を傾げる。

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