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第122話

「むー、じゃ、みずきとコウジは来るよな!」 ルードは標的を変えて言う。 「いや…俺も少し部屋で休むから…」 「えー、コウジは?」 来てくれなきゃ許さないみたいな勢いのルードに… 「う…分かった、行くからね、落ち着いて」 コウジは熱意に負けて頷く。 「よかった、じゃ…卓球ダブルスでやろー!」 「おう!」 ルードは嬉しそうに言っている。 そんなルードの楽しそうな表情をみて安堵し、部屋に戻るアキラ。 みずきもさり気なく付き添う。 「お前もあっちに行きたいならオレに付き合わなくてもいいんだからな?」 当たり前のように、ついてくるみずきを振り返りポツリと言うアキラ。 「あぁ、でも、俺も一息いれたいから…」 アキラと、みずきは柔らかく微笑んでアキラに並ぶ… 「年寄りくせー」 みずきの顔を下から覗き込んで、アキラはお約束のようにからかってみる。 「そ、そうか?」 浴衣姿のアキラ、目のやり場に困り…質問以上に動揺してしまうみずきだったが… 「うそ!休憩は大事だよな、」 反応を楽しみながらみずきの腕に寄り添う。 機嫌の良いアキラ、最近はアキラから積極的に触れてくれることがなかったので、みずきは嬉しくて仕方がない。 温泉旅行を提案してくれた幸田瞬助に感謝してもしきれない気持ちだ。 でも、今度は二人きりで旅行に行きたい… それを実現させるためには、解決しないといけない事柄があって、アキラとのこれからを逃げずに話し合っていかなくては… みずきはそう胸の内で思いながら、部屋に戻り着替えた私服を片付けている。 「んー…喉渇いたな」 ポツリと呟くアキラの言葉を拾って答えるみずき… 「お茶ならこの部屋にあるようだが…あと、旅館の入口付近に自動販売機があったな…なにか買ってこようか?」 「うん、ポカリがあったら…オレもいこうか…」 座って休んでいるアキラ、頷いて立ち上がろうとする。 「アキラは休んでいたらいいよ、俺が買ってくるから…それで、あとで外を、一緒に散歩しよう」 それを優しく制して…散歩に誘ってみる。 無理をさせないように… 「散歩?」 軽く首をかしげ聞き返すアキラ。 「天気がいいし…時間もあるから…小川の辺りまで、どうだろう?」 やはり控え目に誘うみずき。

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