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第123話
「ふ…分かった、せっかく来たんだしな、行こっか…」
少し考えるように首を傾げ、クスっと微笑み頷くアキラ。
「よかった、じゃ…少し待っていてくれ、ポカリ買ってくる」
その答えを聞いてみずきも笑顔を返し嬉しい気持ちを抑えながらアキラに伝える。
「ん、ありがと…」
そうして椅子に座ったまま、世話焼きさんを見送る。
みずきは軽く手を振り、アキラに答えた後、速足で自動販売機に向かう、そこに丁度トイレから出て来たヨシが声をかけてくる。
「お、みずき!ひとりでどーした?」
「あぁ、アキラの飲物を買いに…」
「はは…相変わらずアイツに使われてんなー」
「いや…」
ヨシの言葉に反論しようとするみずきだが、ヨシは分かった分かった、と遮って…
「よーし、俺もなんか買っていってやろーかな、あいつらに」
みずきに並んで言っているヨシ。
「もうすっかり馴染んでいるな…」
感心したようにみずきが言うと…
「まぁな、アキラの弟だけはアレだけど、瞬助は波長あうみてー」
「アキラの弟と一体、何があったんだ?」
なんとなく聞いてみるが…
「ぐ…忘れたいんだ、聞かないでくれ!」
両肩を持って伝えるヨシ…やや引きながら頷くみずき。
「…そうか、まぁ、あの中じゃお前が一番年長者なんだから…行き過ぎないようしっかり注意しろよ…」
ルードのケガの件をふまえてみずきは言い聞かせる。
「はーい…善処します」
片手をあげて頷くヨシ。
自動販売機までついてきてコーヒーかなにか買っているようだ。
みずきもアキラに頼まれたものを買っている。
「そういやー、みずき、なんで引っ越したんだ?」
ふと思いついたように聞いてくる。
「…あぁ、色々あって、…ヨシは俺のことを馬鹿だと思うか?」
やや視線を下げて溜め込むように話すみずき。
「へ?どーして?」
きょとんと見返す。
「…アキラは、俺には高嶺の花だと、充分承知しているけれど…それでも諦めきれず、一緒にいたいと願っているから…」
ずっと…先まで、そう願う。
BOUS時代は、もとより手の届かない存在だった…
それが、様々な偶然が重なって…近づくことが出来て、告白して想いを伝えて…充分過ぎるほどなのに…叶って、当たり前になったら…さらに先を求めてしまう自分…
ハタ見ればから本当に欲張りで滑稽だと思う。
「冗談…ダレがナンだって?」
ちょっと待てよ、とヨシはみずきに言い返す。
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