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第126話
「……そっと、見守っていきたい…のが本当の気持ちだけれど…アキラの気持ちも少しならわかる…」
アキラを真っ直ぐ見つめながら答える。
「……」
「…今、俺はアキラのところに住まさせてもらっている。金を一切払わずに…家賃などの面はアキラにすべて依存した形で、俺としたら…心苦しいところもある、でもそれはアキラを支えられるだけの経済力がないからで…できない自分が腹立たしくて悔しい、アキラも同じ思いを抱いていると思うから…」
「……」
真剣に話すみずきを見つめ聞くアキラ。
「アキラは依存した生活に耐えられない気持ちが…俺より強いから、病気の影響が出て…俺に依存しないといけない自分を見せたくない、それも、アキラが俺から離れようとする理由のひとつだと思ったんだ…」
アキラのもつ宿命…
いくら努力しても変えようがないもの…どうすることもできないもの…
頼りたくないのにできないから、もどかしくて、悔しい、そんな自分が許せない、なら、はじめからそれを見る人間がいなければいい…
そう結論づけて…離れようとする。
「少しは考えたんだ…」
少し微笑んで言う。
「アキラのことだから…考えないわけはない、病気の事は、正直…恐くて考えたことはなかったけれど…大切なことだからしっかり考えるようにする」
当のアキラがまっすぐ考えているのに…逃げてはいられない。
「そ…か、じゃ…よく考えてて…また、聞くから…答え聞かせて…」
そこまで分かってるなら…と、話を切るように言うアキラ。
「あぁ、わかった」
どんなに先が見通し暗くても…自分の答えは変わることはない…
そう、心の内で思ってしまうみずき。
色々思っても最終的にはアキラといることを願ってしまうから…
「ほら、お前も座って飲めよ、休んで行くんだろ散歩」
先ほどの雰囲気とは変わって和やかに微笑むアキラ。
まぶしい笑顔に見惚れそうになりながらも、みずきは頷いて話を続ける。
「……、あぁ…アキラ」
「ん?」
軽く首を傾げる。
「いや…、話してくれてありがとう」
「え?」
「アキラは…つねに色々考えてるから…」
病気についての…不安を、ほとんど話さないアキラ。
けれど、病をもつ本人のアキラが思わないわけない…自分の身に起こるかもしれない障害を考えて…
普通なら絶望的な心理状態になるようなことでも…
それでも、他人の将来のことを気にかけるその姿…
気丈なその姿に…自分は勇気づけられてきた。
これからは、アキラの不安要素を支えていける人間になりたい…
アキラが気負わずに、不安な気持ちを漏らせるような、存在でありたい…
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