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第134話
ツンとしたままアキラはみずきの斜め一歩前を歩いている。
「…夢か、そういえば夢にアキラが出て来たことがあるな…」
すねたようなアキラも可愛く思うみずきだけれど…機嫌を直そうと、何気に話を変えてみるみずき。
「…入眠中のハナシ?」
くるっと後ろを振り向きながら聞いてくる。
「あぁ、すまない…その夢で、」
いきなり話を変えた事を謝り、続けて話そうとするが…
「げーエロい!」
「えっ?な、なぜ?」
いきなりなアキラの言葉に少し慌てて聞くみずき。
「だって、オレとヤってる夢とか見るんだろ?」
笑顔でうかがってくるアキラに…
「なっ、そんな夢はみたことないよ、」
「うそー、」
みずきの言葉に素早く聞き返す。
「本当、見れるなら見てみたいくらいだ…」
みずきも精一杯言うが…
「へー、」
その言葉を聞いて、アキラが瞳を覗きこんでくる。
「あ、いや…そうではなくて…俺が見たのは、アキラとこうして散歩している夢…桜は無かったけれど、草原を歩いていた…」
変なボロが出てしまい、参ったな…となりながらも真実を伝える。
「ふーん…」
アキラは微笑んだまま、帰り道を歩きだしながら話を聞く…
「やはり、アキラは…俺の前を歩いていて…呼んだら何度も振り返ってくれるけれど、なかなか触れられなくて…」
アキラを目で追いながら話すみずき。
「…で?」
続きが気になり短く促す。
「…アキラはまた先に走っていって…結局触れずじまいだったけれど…楽しそうに笑っていたから…俺はそれを眺めているだけで幸せな気分になれた…」
微笑みながら伝えるみずき。
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