135 / 207

第135話

「ふーん、って夢ん中じゃオレ走ってたのか?」 ちょっと驚いて聞くアキラ。 みずきに走るトコなんか見せたっけ?と首を傾げながら… 「あぁ、犬たちと楽しそうだったな…」 「…へぇ、犬ってメアリーとリッツ?」 「そこまでは…覚えてないけれど…」 みずきは首を傾げて伝える。 「そっか、でも、きっとそうだな…アイツらと草原でおもいっきり遊べるなんて最高、いい夢見てくれてアリガト」 アキラは嬉しそうに微笑んでみずきを見る。 「え、いや…」 そんなアキラにドキドキしながら返す言葉に戸惑っていると… 「思い切り走る…なんて、ここ数年出来てないし…オレはそんな夢見ないしな…」 アキラは独り言のように前を向いて話す。 「アキラはどんな夢を見るんだ?」 「うーん、夢自体あんま見ないからな…それか見てるんだけど、起きたら忘れるんだろうな…覚えてない」 アキラは首を傾げ、そう答える。 「…そうか、いい夢を見て、覚えていたら教えてくれ…見る夢は選べないけれど…夢は自由だから…」 みずきは優しく伝える。 「ま、な…」 それに微妙に頷いて答えるアキラ。 二人はたわいない話しをしながら歩いて…旅館の玄関が見えてくる。 「ついたな…」 「平気か?」 「うん、正常正常…」 心配するみずきに軽く笑って答える。 機嫌がよさそうなアキラに… 今しか聞けない気がして、静かに問うみずき。 「アキラ…前々から聞こうと思っていたことがあるんだが…聞いてもいいか?」 旅館に入る前に足を止める。

ともだちにシェアしよう!