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第135話
「ふーん、って夢ん中じゃオレ走ってたのか?」
ちょっと驚いて聞くアキラ。
みずきに走るトコなんか見せたっけ?と首を傾げながら…
「あぁ、犬たちと楽しそうだったな…」
「…へぇ、犬ってメアリーとリッツ?」
「そこまでは…覚えてないけれど…」
みずきは首を傾げて伝える。
「そっか、でも、きっとそうだな…アイツらと草原でおもいっきり遊べるなんて最高、いい夢見てくれてアリガト」
アキラは嬉しそうに微笑んでみずきを見る。
「え、いや…」
そんなアキラにドキドキしながら返す言葉に戸惑っていると…
「思い切り走る…なんて、ここ数年出来てないし…オレはそんな夢見ないしな…」
アキラは独り言のように前を向いて話す。
「アキラはどんな夢を見るんだ?」
「うーん、夢自体あんま見ないからな…それか見てるんだけど、起きたら忘れるんだろうな…覚えてない」
アキラは首を傾げ、そう答える。
「…そうか、いい夢を見て、覚えていたら教えてくれ…見る夢は選べないけれど…夢は自由だから…」
みずきは優しく伝える。
「ま、な…」
それに微妙に頷いて答えるアキラ。
二人はたわいない話しをしながら歩いて…旅館の玄関が見えてくる。
「ついたな…」
「平気か?」
「うん、正常正常…」
心配するみずきに軽く笑って答える。
機嫌がよさそうなアキラに…
今しか聞けない気がして、静かに問うみずき。
「アキラ…前々から聞こうと思っていたことがあるんだが…聞いてもいいか?」
旅館に入る前に足を止める。
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