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第142話
「嘘だけどな…、そんぐらい覚悟しろって意味」
ふっと笑って伝える。
「別れさそうって気はないわけ?」
率直に聞く…
「ない!言っただろ、俺はみずきの味方だ」
やはりきっぱり答える。
「…はぁ、」
つい、ため息をついてしまうアキラ。
「お前こそ、あんな性格のいいみずきと付き合えてんのに、別れたいだと?ムカツクな、何が不満なんだ…」
眉間にしわを寄せながら問うヨシ。
「不満が…ないから困ってるんだけど…」
小さく答える。
嫌いなら簡単に別れられるけど…そうじゃないから…困る。
「はぁ?意味わかんねー」
ヨシはまた眉間にしわをよせている。
「…ホントは、そのうち、嫌われるのが…恐いだけかも…」
ぽそっと続けて、答えている。
「はぁ?」
「ルードの時みたいに…」
すべてをかけて信じて愛している。
その時に嫌われて捨てられる。
それほどつらいことはないから…
「……」
そうなる前に自分から…ケリをつけたい。
「よくわかんねーけど、恋愛ってそんなもんじゃねーの?好きだから一緒にいる、嫌いになったら別れる、当たり前だろ?嫌われるのが恐くてつきあわねーなんか、馬鹿げてる」
「…そうかもな、でも…」
プライドが邪魔をする。
いつも優しいみずきの口から…
冷たい言葉を聞いた時、自分は…どんな気持ちになるんだろう。
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