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第153話
「…その、アキラは父親のことを嫌っているようだが…お前も嫌っているのか?」
コウジの言葉を聞いて、気になっていたことを尋ねてしまうみずき。
「え?僕?ううん、嫌いじゃないよ、確かに父さんは話上手ではないけど…すごく優秀な医者なんだ、病院のことを一番に考えてて、自分を犠牲にして人の命を救ってる。だから家族を構ってる暇なんかないんだよ」
コウジの答えは、はっきりしていた。
「……」
親の話を自分からまったくしないアキラ…
今日、アキラから母親の話をようやく聞けたけれど、父親についてはほとんど知らない…
「アキ兄が…父さんを嫌うのは仕方ないと思う。あんまり話すとアキ兄に怒られるからいえないけど…確かに、父さんは差別してるから、僕とアキ兄…、アキ兄に対してはホントに冷たいから…」
「なんで?」
ルードが突っ込んで聞くが…
「詳しいコトは話せないけど…ウチの方針は変わってるとしか言えないかな…」
コウジはやんわりはぐらかす。
「なんだそれ…」
瞬助が首を傾げているが…
「ありがとう…すまない変なことを聞いて、…少し時間が経ったから様子を見てきていいか?聞かなかった振りをするから…」
みずきはコウジに礼をいって、瞬助に確認をとる。
「え、あ…はい、どうぞどうぞ…」
瞬助も引き止めることはなく頷く…
「じゃ…また後で、」
そう言い、みんなを残してアキラのもとへ急ぐみずき。
部屋の前まできて、はやる心を抑えるため、一度息をついて…寝ているかもしれないアキラを起こさないよう、そっと部屋の中へ入っていく…
「……」
静かに覗いてみると…
畳の上に横になっているアキラの姿…
眠っている様子だ…
とりあえず、辛そうではないアキラの姿を見たことで安堵するみずき…
起こさないように少し離れた場所に腰を降ろす。
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