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第156話
「みずきはすげーな、」
ヨシは感心したように言う。
「いや…たぶん俺は馬鹿なんだと思う…単純だから…流されてばかりいたんだ」
「いやいや、んなわけねーって、」
「だから…いざ、自分がほしいと思う存在ができて、自分で考えなくてはいけなくなった時に…どうすればいいのか分からないんだ…駄目だな」
苦笑いふうなみずき。
「うーん、みずきの場合、相手が相手だし、みずきに非はないとおもうけどなー」
「…束縛しすぎても…自由にさせすぎても駄目だから…加減が難しい」
アキラは束縛されるのは嫌いだから…
かといって、アキラをほっておいたら、たぶん一緒にいることはできなくなるだろう。
「つーか、あいつがみずきに合わせれば問題ねーのに、気苦労ばっかかけさせやがって、ムカつく!」
むすっと怒りながらぼやく。
「…ヨシ、俺は苦労しているとは思ったことないから、大丈夫。ただ、自分があまりに不甲斐ないから、考えなくてはならないことが多くて…情けないなと思うだけで…」
ヨシを安心させつつ、誤解を解くみずき。
「すげーよな、みずきは…なかなかできねぇよ、その考え」
頷きながら尊敬して言うヨシ。
「そうだろうか…もともとこういう性格だからな、俺からみればヨシやルードのようにはっきりとした性格の方が男としては格好いいと思う」
「ええー、マジ?まぁでも、どんな奴がいいか決めるのは付き合ってる相手だからな…」
みずきにかっこいいと言われて嬉しくなりながら話を続けるヨシ。
「それが…難しいな」
「え、なんで?」
「アキラの好きなタイプはルードだから…俺とは180度違う…」
「でも、それは前のハナシだろ?」
「分からない、でも…思わないようにしたいけれど…さっきみたいにアキラが離れていくと考えてしまう。アキラはルードが好きで…ルードもアキラを狙っていて…なら俺は、俺の存在は邪魔者でしかないような…不安はある」
いつルードに掠われるか不安で…
恐くて聞けないが…
ルードと俺とどちらが好きか…アキラに問ったら、ルードには今でも勝てない気がする。
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