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第176話
「こら!みずき、甘やかさない、アキラひとりで起こしてこなきゃダメ!」
ルードがすかさず止める。
「ルード…」
苦い顔をするアキラ。
みずきもついていってもいいと思っていたので…ルードに言おうとするが…
「ジャンケンで負けたんだから潔く行くのだ~」
大袈裟に指差して言うルードに…
「はーい、わかったわかった、水でもぶっかけて起こしてくるよ、先に食ってて!」
ルードの言うコトは断れないらしく苦笑いしながら頷くアキラ。
「アキラ…」
「みずきも食ってろって、すぐ戻るから…」
「あぁ、」
アキラに言われたので、心配だが頷くみずき。
それを見てみんなに手を振って寝ぼすけヨシを起こしに行くことにするアキラ…
「さーて、どうするかなー」
独り言を言いながら、ヨシが寝ている部屋までたどり着くアキラ。
案の定、ヨシは布団を頭からかぶって入眠中だ…
「水ぶっかけるのが一番早いんだろうけど…」
しかし、それは旅館の布団が濡れてしまうから出来ないし…気は進まないが、まずは声をかけてみることにするアキラ。
「オイ、寝ぼけヨシ!起きろっ!」
布団を引っ張りながら耳元で大声を上げてみる。
「……」
しかし、やはり蹴られても起きない頑固者、ぴくりともしない…
軽くムカつきながらも…息をついてアキラは起こす方法を考える。
(並の方法じゃ起きねーしな…よし、やっぱアレしかない…)
アキラは思い立って、洗面台の方へ行き、水を出す。
その水をタオルに染み込ませ…軽くしぼって、ヨシの元へ戻るアキラ。
「これで起きなきゃ、人間じゃないだろ、」
呟いてアキラはヨシから布団を引き剥がし、現れたヨシの寝顔に、濡れたタオルを容赦なく…
バシッ!と、叩きつける。
「ッ!?冷てっ、??」
さすがのヨシもそのシウチにはビクっと反応するが、何が起こったのか把握できていない。
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