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第178話

「蹴ったらしいけど?」 「えっ?ヒドっ…」 「覚えてないなら、別にいいだろー、オレ先に行ってるからな…」 顔を洗いはじめたヨシにアキラはそう伝えるが… 「まぁ待て、せっかくだし一緒に行く…」 そう決めつけるヨシにアキラは… 「後から一人で行くのが嫌なだけだろ?」 ちらっと見て、ちょっとからかうように言う。 「うるせーいいから待ってろ」 ヨシはフンとなりながらもアキラを待たせておく… やれやれとなりながらも、ついでなので待ってあげることにする。 しばらくして… 「オッケーいくぜ、」 顔を洗ってすっかり目が覚めた様子のヨシ… アキラの近くに来て言う。 「…つーか、その寝起きの悪さでよく一人暮ししてこれたよな、学校とか遅刻常習犯だったんだろ?」 アキラはさっさと歩き始め、話し掛ける。 「んなわけあるか、遅刻とか数えるほどしかしたことねーって、昨日は、寝る時間が遅かったから…」 「だから、遅刻したことあるんだろ?」 からかうようにもう一度言う。 「…そういうてめぇは遅刻したことが一度もねぇって言えるのか?あるだろ、ふつー、一度や二度!」 むかついてヨシは問いただすが… 「ねーよ、オレの場合、ガッコなら遅刻する時間に目覚めたら休むからな…」 起きれないのは、余程体調が悪いときだけど… 「な、んな遅刻する方がまだマシだろ?欠席より!」 ムキになって言い返すヨシ。 「そかな?」 軽く首をかしげながらケロっとして言うアキラ。 「…オメーとは意見あわねーな、」 ヨシはため息をつきながらしみじみ言ってしまう。 「だな、」 アキラはふっと笑って頷く… その見た目だけは可愛い横顔を見てまたため息をついてしまうヨシ。 「溜息ばっかついてると、幸せが逃げていく…とかって言われなかった?」 「知るか!誰のせいだ、誰の!」 溜息をつかせている大元の人物に言われたくないわ!と怒るヨシ。

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