182 / 207
第182話
「性格にもよるんだろーけどな、」
うーん、と首を傾げているアキラ。
「…鈴鹿さんの事、大事にしないといけないよ、アキ兄…」
そっとコウジはさとすが…
「わかってるって、でも、どう大事にするかってのが問題なんだよなー、みずき」
くすっと笑って、またみずきを見て尋ねるように言葉を出す。
「えっ…」
いきなり聞かれて、みずきは何のコトだろうと、詰まるが…
「お前の将来(さき)を大事にするか、意思(きもち)を大事にするか…ムズカシイよな、」
みずきの思い…いずれは変わっていくはずだから…
「俺は…意思が大事だと思う…」
みずきはアキラが言いたいことがわかったけれど、あえてそう答える。
「オレは、将来が大事だと思う…オマエはオレとは違うから…」
アキラもまっすぐ答える。
「アキ兄…」
そんなアキラとみずきを見てコウジは胸が痛んで呼んでしまう。
「ほらな、オレらって意見あわないだろ」
アキラはコウジに微笑ってみせる。
「アキ兄…」
なんだか納得できなくて…表情を曇らせるコウジを見てアキラは…
「コウジなら…どう思う?」
質問を投げてみる。
「それは、キモチが大事だよ!」
みずきを弁護するように…すぐ、答えるコウジ。
それを見て、アキラは静かにもう一度問う…
「じゃ…コウジがオレの立場だったら…最期まで大切なヤツを付き合わせたい?」
病のある身体で…と言う意味で、少し真剣な瞳を向け聞くアキラ…
「…アキ兄」
そんなアキラの瞳にドキッとして…答えに詰まってしまう。
「な、即答、出来ないだろ…?そういうコト…」
またアキラは微笑っている。
「…アキラ、」
アキラのそんな様子が切なくて、名前を呼んでしまうみずき。
「よし、決めた…けんじさんへコレにしよ、買ってくるから」
不意に綺麗なデザインの写真立を持って言うアキラ。
「え、あぁ…」
頷くみずきを置いてレジへと姿を消すアキラ。
ともだちにシェアしよう!