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第183話
「まったく、アキ兄は…すぐ、はぐらかすんだから、でも…アキ兄の言ってるコト分からなくもないんだけど…難しいな…」
自分がもし、進行性の病だとしたら…あんなに落ち着いて他人の未来なんて考えられるだろうか…
僕なら、きっと自分のコトで手一杯だよ…
アキ兄は、やっぱりすごいかも…そう心の中で思ってしまうコウジ。
「あの、」
アキラの弟コウジと二人きりになって、どうしても聞いておきたいことがあったので、みずきはコウジに話し掛ける。
「え、」
「昨日言っていた…アキラの治療は他の県に出なくても出来るっていうのは本当なのか?」
移動せずに治療できるならアキラに考え直してもらえるチャンスがあるから…
「えっと、うん、たしかにいい施設は空き待ちは長いけど、外に出なくてもあるし、日本国内ならアキ兄の病気にはそんなに病院も差はないはずだから…」
快く答えてくれるコウジ。
「そうか…」
それはどこの病院でどこの施設なのか…聞きたかったが先にコウジが話し出す…
「アキ兄がなんでそれを望んでるのか分からないけど…本人に聞けないなら、けんじさんが、もっと詳しいこと教えてくれる筈だけど…?」
首を傾げながらそう勧める。
「けんじ先生は…」
アキラにけんじ先生には相談を持ち掛けるなと言われているから…
「ん?けんじさんがなんだって?」
買物を終えて戻って来たアキラが何気に聞く…
「アキラ…」
少し慌てて、答えに詰まるみずきを見て、コウジが助け船をだす…
「…そうそう、帰りにけんじさんの所に寄れるかなって、お土産渡したいしね」
「帰りに?大勢で行ったら迷惑にならないか?」
やはり気にするアキラだが…
「早めに行けば大丈夫だよ、ね、鈴鹿さん!」
みずきにも同意をもとめるコウジ。
「あ、あぁ…せっかくだしな、寄ってもらおう…」
二回くらい頷きながら答えるみずき。
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