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第188話

「もちろん、アキラが居てくれるから、俺は強く居れるんだ、本当に、ありがとう」 みずきは、しみじみと頷いてアキラにお礼を言ってしまう。 「ばーか、お互い様なんだろ」 礼なんかいうなよ、と微笑んでみずきの額をこずくアキラ。 みずきは苦笑いして柔らかく頷く… ふいにアキラは繋いでいた手を離して、部屋に入っていく… 「ここも、もうお別れだな、いい旅館だったなー」 窓から桜を見渡しながらアキラは伝える。 「あぁ、もう一泊くらいしていきたい気分だな…」 みずきもそっと寄り添いながらしっかり答える。 「うん…」 素直に頷くアキラの優しい横顔を見つめながら…思ってしまう。 来年も、ここに一緒に来たい…と伝えたら… アキラはどう答えてくれるんだろう。 聞くこと自体、よいことなのか…わからない。 先のことを考えるように、言われたけれど…アキラの身体のことについてだけは、恐くて踏み出せない。 こういう所がアキラを幻滅させてしまうと分かっていても…思考が進まない。 けど、いつまでも逃げているわけにはいられない…アキラがさっき、弟へ言っていた言葉… 『大切な奴を最期まで付き合わせたい?』 …自分自身より他人を思う強い言葉… 独りで死をむかえる覚悟のある言葉… それを上回る言葉と気持ちでアキラを安心させなくては…今はできなくても、いつか必ず言えるように… 「アキラ…」 「ん?」 外を見つめながら首を傾げるアキラ。 「俺も、しっかり考えるから、アキラとのこれから、アキラの身体のこと、そして、自分自身の将来のこと…」 逃げずに考える。 「……うん、しっかり考えてみて…後悔しないように…」 少し驚いたように瞳を重ねるアキラ… そして優しく微笑み返して伝えてくる。 「あぁ、」 しっかり考えて、出た気持ちを嘘偽りなくアキラへ伝える。 それが俺の覚悟を決めた言葉だから… しっかり頷いて、アキラの頬へ自然に触れる。 そのまま、すっと優しく親指でその可愛いらしい下唇をなぞるみずき… 無言のサインを読み取って…アキラは静かに重ねていた瞳を閉じる。 みずきもタイミングを合わせるように瞳を閉じて、優しくそっと…くちづけしていく… 愛しい気持ちを込めて…アキラへと…

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