194 / 207

第194話

「そういや、さっき院長サマに会わなかったか?今し方出ていったんだが…」 亜澄の言う院長サマとはミツルのことだ。 あだ名で呼ぶのが癖らしい。 「お父さんですか?はい、会いましたよ。元気そうでした。ところで、健次さんはまだ忙しそうですか?」 亜澄先生なら知ってるかも、と聞いてみるコウジ。 「んー、健次はカンファ終わって来客対応してるからなぁ、ま、そのうち終わるだろうから待ってな、健次に来てたことを伝えといてやるよ、」 笑顔で答えてくれる。 「はい、じゃ行こうかな…」 「あ、暇ならお前ら病棟覗いていけよ、若い兄ちゃんがくればガキどもが喜ぶだろーし…」 軽く誘う亜澄。 「え、と」 犬のところへ行く途中なので即答出来ずにいるコウジだが… 「行く行く、また遊びたかったんだ、子ども達と!」 ルードは乗り気だ。 「でも、アキ兄たちは…」 何も言わずに行くのも…と、心配するコウジだが… 「アキラならみずきにまかせとこーよ、なんか機嫌悪かったし…」 「う、ん…そうだね、あの亜澄先生、アキラを見かけたら病棟にいるって伝えてもらえますか?犬小屋に向かったので」 「おう、なんだ、あの可愛いげねーアキラも来てんのかーそりゃ顔みとかなきゃなぁ…」 とかなんとか言いつつ、アキラのことがけっこうお気に入りの亜澄は笑っている。 「亜澄先生…」 あまりの言い草に苦笑いのコウジ… 「じゃ行こうぜ!」 「うん、では…」 亜澄へ、コウジは会釈して歩き出す。 「おう」 亜澄も手を振って一旦、会議室へ戻っていく。

ともだちにシェアしよう!