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第194話
「そういや、さっき院長サマに会わなかったか?今し方出ていったんだが…」
亜澄の言う院長サマとはミツルのことだ。
あだ名で呼ぶのが癖らしい。
「お父さんですか?はい、会いましたよ。元気そうでした。ところで、健次さんはまだ忙しそうですか?」
亜澄先生なら知ってるかも、と聞いてみるコウジ。
「んー、健次はカンファ終わって来客対応してるからなぁ、ま、そのうち終わるだろうから待ってな、健次に来てたことを伝えといてやるよ、」
笑顔で答えてくれる。
「はい、じゃ行こうかな…」
「あ、暇ならお前ら病棟覗いていけよ、若い兄ちゃんがくればガキどもが喜ぶだろーし…」
軽く誘う亜澄。
「え、と」
犬のところへ行く途中なので即答出来ずにいるコウジだが…
「行く行く、また遊びたかったんだ、子ども達と!」
ルードは乗り気だ。
「でも、アキ兄たちは…」
何も言わずに行くのも…と、心配するコウジだが…
「アキラならみずきにまかせとこーよ、なんか機嫌悪かったし…」
「う、ん…そうだね、あの亜澄先生、アキラを見かけたら病棟にいるって伝えてもらえますか?犬小屋に向かったので」
「おう、なんだ、あの可愛いげねーアキラも来てんのかーそりゃ顔みとかなきゃなぁ…」
とかなんとか言いつつ、アキラのことがけっこうお気に入りの亜澄は笑っている。
「亜澄先生…」
あまりの言い草に苦笑いのコウジ…
「じゃ行こうぜ!」
「うん、では…」
亜澄へ、コウジは会釈して歩き出す。
「おう」
亜澄も手を振って一旦、会議室へ戻っていく。
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