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第196話

「……」 ほっておかれた気分になって、少しだけ犬相手に妬いてしまいそうになるみずき。 アキラが喜んでいるのだから、と、そんなそぶりを見せないようにしたつもりが… 「ふふ、邪魔しない方がいいぞー、この一番おっきい犬がすねちゃうからなー」 そうクスクス笑ってみずきを見ながらからかうアキラ。 「えっい、犬?」 自分はペットと同等なのか… いや、アキラにとっては家族も同然な犬たちだから、昇格したのだろうか… などと変な慌て方をするみずきに… 「冗談だって、おもしろー」 柔らかい…いつものアキラの笑顔。 さっきの不機嫌な気持ちは少しは晴れたようで安心するみずき。 アキラが隣で笑っているだけでこんなに幸せなのだから… 大切にしていきたい、アキラとの一瞬一瞬を… そう、みずきは心の中で再確認してしまう。 しばらく犬たちと和んでいると… 「お、いたいた」 小屋の外から声をかける人物。 「…亜澄センセ、何しにきたんすか…」 その人物をみてアキラは嫌そうに顔をしかめる。 「お前をからかいに!」 ウインクするように言う亜澄に、げんなりするアキラ。 「嘘だって、伝言を伝えにきてやったんだから有り難く思えよ」 腕を組みながら言う亜澄。 「伝言?」 一応、首を傾げて聞き返すアキラ。 「お前らの仲間から、病棟のプレイルームにいるからってさ」 「あぁ、それでみんな来ないのか…」 みずきは皆が遅いことを少し気にしていたので、納得して頷く。 「…アリガトウゴザイマス、用がすんだならあっちいってください」 事務的に挨拶すると、そんなふうに亜澄を追い返す。 「アキラ?」 なぜか冷たくあしらうアキラを不思議に思うが…

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