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第199話
「は、はい」
急に自分にふられて驚きながらもしっかり返事するみずき。
「健次さん、みずきに頼まなくても…オレ充分自分でわかるんだけど…」
やや不本意にぼやくアキラ。
「そうでしたね、すみません」
苦笑いの健次。
「そろそろ戻らなくて大丈夫?けんじさん」
やはり心配して聞く。
「大丈夫ですよ、でもコウジたちの所へも顔を出して戻るとしますか。アキラはどうします?」
「オレはコウジたちが来るまでここにいるよ」
「ではそう伝えておきますね…」
「ありがと、健次さん」
「いえいえ、では失礼します」
「うん」
「はい」
みずきも会釈をしながら見送る。
「アキラ」
そしてみずきはそっと名前を呼ぶ。
「ん?」
いつも通り首を傾げるアキラ。
「犬たちの迎えはヨシに車を出してもらうか?」
犬を運ぶにはバイクでは無理だから…
「うーん、ヨシにばっか借り作るのもなぁ…」
アキラは気乗りしなさそうに首を傾げる。
「他に車を運転できる奴は…」
みずきは探そうとするが…
「どうせなら、天気のいい日に歩いて連れて帰ろっか…」
ふと提案するアキラ。
「えっ…でも、アキラ、大丈夫なのか?」
アキラの借りている家まで歩くと、前よりは近くなったとはいえ距離がある、アキラが歩けるのか心配になるみずき。
「休まず帰ったら40分以上はかかるだろうけど、疲れたら休憩しながらさ、時間かけて散歩がてら、暖かくなったし楽しいいと思わねー?」
外出好きなアキラは少しわくわくしたように話す。
「あぁ、確かに、楽しそうだな、いい思い出にもなるしな、無理せず休憩しながら犬たちをつれて帰ろう」
アキラが楽しそうなので、みずきも、がぜん乗り気で頷く。
「みずき、今度休みいつだっけ?」
「たしかアキラと同じ日の休みは、九日後だな、夜だけ仕事の日なら四日後になるな、早い方がいいなら四日後にしようか?」
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