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第11話
真正面に、ジェレミーの金色の瞳がある。
それはいつ見ても幻想的であると同時に、自分の真意を見透かされそうで恐ろしくもある。
真っ直ぐなジェレミーの瞳が怖くて、トオルはそっと目をそらした。
「ジェレミー……君なら私よりもふさわしい相手が現れるさ」
「やはり君は残酷だ。この私がなぜ伴侶を娶(めと)らず、独り身のままでいたと思っている? すべては君がそうさせたのだ。君の存在が私を狂わせ、どうしようもない男にさせた。トオル、君があまりにも美しいから、私は君と一生を共にしたくて……ああ、すまない。そんなに怯えないでくれたまえ」
「君は……その、ゲイ……なのか?」
「私が愛したのはトオルだけだ。いや、いまでも君を愛している」
「ジ、ジェレミー……っ」
胸に抱えていた花束がぐしゃりと潰れる。トオルはジェレミーに抱きすくめられた。
「トオル……」
ジェレミーのムスクだろうか。
甘くて苦い芳醇な香りがトオルの鼻腔をくすぐる。それにジェレミーのほのかな体臭が合わさって、トオルの身体を落ち着かなくさせる。
首筋から臀部にかけて、じんわりとした衝撃が走った。
「ジェレミー……離してくれ……私は、私は君の想いには応えられない……」
「ミシェルに操立てでもしているのかな?」
「ち、違う!」
「君の身体は実に正直だね」
ふうっと、ジェレミーの吐息がトオルの耳朶をくすぐる。
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