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第17話
「いざとなったら切り裂いてあげよう」
「ジェレミー……あまり私を脅かさないでくれ」
「すまない。君が可愛いものだから、つい。――それにしてもトオル、何て美しい光景なのだろうね」
ジェレミーの目はうっとりとトオルを見つめる。
「漆黒の寝台に純白のドレスをまとった花嫁。君は本当に美しいよ、トオル。君もいつかはこの寝台に合うように、黒く、黒く染まっていくのだろうか――」
ジェレミーは懐から小ぶりのナイフを取り出す。
トオルは「ひいい」と後退るが、ドレスのせいで思うように身体が動かない。
「――いや、君を黒く染めるのは私だ。トオル、君は私だけの花嫁になるのだ」
ジェレミーとトオルは純白の衣装に身を包みながら、神聖な教会で身体を交えた。
トオルはじっと耐えた。
もともと女性相手であっても――それがミシェルであったとしても、肌を重ねることは好きではない。
性欲が薄いのだ。
だがミシェルだけは特別であった。子宝には恵まれなかったが、若いうちはミシェルに求められればキスをし、夜には彼女を抱いた。
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