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track.14
我ながら難易度が高いと自由は思った──。
思ってもみなかったのだ、自分が大人になってこんな……。
「ふっ……ぅ、んっ……」
自分のでさえこんな至近距離で見たことがないのに、自由は口の中に収まりきっていない、すでに熱を持ち十分に硬くなった葉山の雄を咥えながら心はパニックを起こしていた。
目を開けたら怖くて思わず閉じてしまって、閉じたら余計に葉山の体温と感触がリアルに伝わって、混乱で涙まで出てくる。
不意に顎を軽く掴まれ上を向かされる。そのせいで口の中からずるりと葉山のが抜けた。
「ふぁ……?」と、自由は舌をしまわぬままで葉山を伺うと、すぐに形勢逆転され葉山に押し倒されてしまった。
「ちょっ、待ってよっ、最後までやらしてよっ」
「鈍い」
「んだとっ! ひぁっ!!」
なんでそんなに迷いなく奥まで咥えられるんだと自由は激しく動揺しながらも葉山の愛撫にすでにクラクラしていた。
「あっ! 待って、葉山ッ……だめっ、待ッ……」
容赦無く責め立てられて自由は呆気なく果ててしまう。涙を滲ませ肩で息をついていると自分が出したぬめりを舐めとった葉山の舌が、自由の感じやすい後ろへ続く肌を這ってゆく。
何度かそれを繰り返され、次第に熱は後ろの孔に入り込んだ。
「あっ! はぁ……あっ……」
器用な舌が動くたび自由は腰をガクガク震わせ、唇を戦慄かせる。
「葉山……、ねっ……ねぇ……」
自由は葉山の背中に両手を伸ばして何かをせがむ。葉山は意地悪く笑ってその顔を覗き込んだ。自由の潤んだ瞳はわざと甘えた色をして困ったように眉を寄せている。
葉山の大きな手が自由の奥を開こうと太腿を持ち上げ、少し甘い香りのするジェルでそこを広げた。
普段は図太くワガママな自由がその時ばかりは所在無げに時折細い指で不安そうに葉山の頬を撫でてみたり、自分から何度も口付けてみたりと無自覚に年上の男を惑わす。
その誘惑に大人の冷静さを失いかけた葉山の熱がゆっくりと自由の中へ入ってくる。
「──痛い……?」
「大丈、夫……葉山……もっと、中……」
自由が珍しく葉山の手を取りせがんでくる。
ゆっくり優しく愛してやろうと思っていたのに自由のそんな仕草にまんまと葉山は隠していた牙を早々に露わにした。
自由の腰を手前に浮かせて開いた場所にずぶりと奥まで自分を飲み込ませる。尻尾をいきなり掴まれた猫みたいに自由の身体はビクリと跳ねて嬌声をあげた。
「ひっ、あっ……ああっ」
自由の細い身体はシーツに押さえつけられながら激しく揺さぶられる。
「葉……、やっ……やだっ……ゆっくり、ゆっ……くりしてっ……あっあっ……」
必死に葉山の身体に四肢を絡ませ、激しい衝動に耐えられず自由は何度も鳴いた。
「めっ……すぐ……イッ……イくからぁっ……」
さっき達したばかりの自由の中心を葉山が手で強く扱いてやるとそれはまた熱を持ち始めた。
「やだっ、やだぁ……っ、やっ、やあ……あっ」
自由の中がきつく葉山に吸い付き何度も震え、陸に上がった魚のように自由の腰はビクビクと不規則に上下する。
「やっ、あっ……変ッ……俺……」
達したはずなのに射精しなかった自由の屹立は未だおさまらず、葉山を咥え込んだ場所もまだそれを離さずに何度もギュウギュウと戦慄いたままだ。
自由は怖くなったのか瞑った大きな瞳からはボロボロと涙が溢れていた。
「自由……大丈夫だから。自由」
その柔らかく甘い声に自由は震える瞼をなんとか開いて葉山の目を見た。
優しく何度か口付けられて少しだけ落ち着いたのか葉山の大きな掌を握りしめて自分の頬に寄せ、震える小さな声で名前を呼ぶ──。
「誠一郎……」
葉山は十分わかっていたはずだ。
篠崎自由がいかに無自覚でいかに子供かを──。
葉山という男がどんな本性の男かなんて、出会ったその日に思い知っていた筈なのに、簡単にこうやって自分の一番柔らかい場所をその男に見せるのだ──。
「俺はお前が恐ろしいよ」
「……なに……?」
そして葉山は思い知る──。
これが毒でも罠でも地獄でも、自分は口を開かずには、噛み付かずにはいられないことを──。
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