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小学生の頃、知らないやつに性的暴行を受けた。 陽の傾いた、下校中。 相手は未成年だった。 一人歩いていた俺は、犯人に寂れた公園に引きずり込まれ、容赦なく犯された。 小学生の弱い力ではどうすることもできず、叫びは大きな拳によって遮られた。 ひたすら怖くて、痛くて。 当時の俺には何が何だか分からず、それが一体どういうものだったのかを成長するにつれて知る。 犯人と同じように、俺にも性欲があることが気持ち悪くて仕方がない。 だから今でもセックスだのなんだのには嫌悪感しかない。 そんな過度の心的外傷とそのストレスにより、その事件以来、声が出なくなった。 失声症だった。 失声症を患ってからは、人との会話を避けるべく常に耳にはイヤホンをつけるようにしている。 これなら話しかけられても、「聞こえてないんだな」で済ませられるからだ。 とはいっても、不良で学校でも浮いている俺に話しかける人はいないのだが。 教師は声が出ないことを知っているため、授業に出たところで当てられることもない。 2度目のため息をついたそのとき、 突然屋上のドアが開いた。

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