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14 残夢ーざんむー
悪夢から目が覚めて、また眠りに落ちて。そしてそれを繰り返して迎えた翌日。
相手の拳を避けると同時に、その横っ面を裏拳で張り倒す。
よろめいた所を、すかさずシャツの襟足を掴んで鳩尾に膝を入れる。
そいつが再起不能になったら、はい次。
(飽きねぇな、こいつらも)
今日は部活紹介とやらで1,2時間目は自習らしい。
俺には関係ないからとサボって公園で猫にエサをやってたら、案の定絡まれた。
(群れないと強がれない三下野郎が。)
向かってきた2人目も大したことはなく、顔面に膝蹴りをお見舞いする。
呻いて顔を抑えるそいつの腕時計を確認する。
(そろそろ行くか…。)
トドメにやや強めに股間を蹴っておいた。
そいつは声にならない悲鳴をあげて崩れ落ちる。
何が『女みたいな面しやがって、遊んでやろーか』だ。
1発食らってしまったパンチは歯が当たってしまい、口から血が出た。
ペッと血を吐いて口元を拭う。
それでも口の中の鉄っぽい味は消えない。
撫でていたトラ猫はいつの間にかいなくなっていてなんだか名残惜しい。
土埃で汚れたカバンをはたきながら、公園から出た。
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