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学校についたのは2時間目の終わり頃だった。
外廊下を新入生らしき女子生徒が2人歩いてる。
手には複数枚の部活紹介のチラシ。
イヤホンをしているにも関わらず、
やたらテンションの高い会話が耳に入る。
「あの先輩、まじかっこよかったよね?!」
「え、え、それって弓道部?!」
「そうそうそう!!!ほらここ、名前書いてあるよ!」
「部長の御波………下読めんけどこの人!」
「わかるわかる!!やばかったまじで!」
どうやら御波の話らしい。
(……………あれ弓道部の道着だったのか。)
昨日の放課後のあいつの格好を思い出す。
ぼんやりしながら、中庭を横切って下駄箱に入る。
上履きをはいて、トイレの横の階段につながる角を曲がろうとしたその時
ドンッ
「っ、」
「うおっ」
誰かにぶつかる。
突然のことで後ろによろめいた。
ふらついた俺を相手が咄嗟に掴む。
でもその手はすぐ離れた。
「ごめん、触って。あとぶつかったのも。」
声に思わず体を強張らせる。
柔軟剤と日光の匂いがふわりと鼻を掠めた。
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